占める人たち
【 ※せつねえ話 注意 】
東北地方太平洋沖地震から3日後
テレビニュースが東京都に住む主婦Aさんをカメラで映しだしている。
今日はなにを買ってきたんですか?
「トイレットペーパーとか、買い占めてきたの(笑)」
氏名のクレジットはないものの、顔にモザイクがかかっているわけではない。
Aさんの知人・友人・家族・親戚、勤めていれば会社の同僚。
多くの知り合いがこの言動をテレビで見たことになる。
Aさんは今頃、そのことをどう思っているだろう。
軽率な言動を悔いているだろうか。
それとも「見た見た?」と、あちこちにメールを出しまくっているだろうか。
地震から7日後、朝の通勤電車は平常通りの乗車率となっていた。
向かいの「優先席」には空席がある。
そこにやってきた、推定年齢20歳の女性Bさん。
隣りにいたおじさんから距離を置いて2人分の席をとった。
やがて、電車は混んできて乗車率は200%を優に超えていたが、Bさんの両隣に開いたスペースは誰も座れない。
Bさんはこの時、どう思っていただろう。
と考えるまでもない。
電車が混んできたのに、どちらにも寄らず席を空けなかったのだから。
ある学校の卒業式でこんな光景があったという。
校舎は被災しなかったので、予定通り、卒業式が挙行されることになった。
開場と共に会場の体育館に一番乗りした母親Cさん。
一番前の列まで小走りにやってきて、いきなりハンカチを10席に落としていった。
見ていた先生は
「ハンカチ落としかっ?」
と内心つっこんだが、何も言わなかったそうだ。
Cさんはこの行為をどう思っているだろう。
開会ぎりぎりにやってきたお友達に「わぁ、ありがとう。今度おごるね」と言われて、善い行いをしたと思っているかも知れない。
こうして、少欲知足。つまり足ることを知らず、他人の分まで我がものにする習慣が身についた「占める人」
このような人は被災地で避難生活を送ることになった時、いったいどんな行動をするのだろう。
災害でフリーになった自販機の飲料を全部持ち帰る。
トイレから紙を盗む。
避難所にいち早く乗り込んで、大きな場所を取る。
おにぎりを1個余分にせしめる。
何をするかわからない。
日本は今、逆ギレ社会。
逆ギレが怖くて、マナー違反を注意できない社会だ。
だから、誰も注意してくれない。
親さえも言わない。
震災が起きてから襟を正すのではなく、日頃から正しておいたほうが幸せに生きられる。
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