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2011年4月15日 (金)

NIMBY にんびー?

東日本震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、原発はその株を落としている。
「もう原発なんてやめた方がいい」
という考えをもつ人が増えている。
一方では、環境に負荷をかけないエネルギー確保手段として、原発をなくすことは考えられないという人もいる。

鳩山前総理が勝手にぶちあげた「温暖化ガス25%削減」のためには、原発をばんばん作らなければならない。
京都議定書の「6%削減」にしても、原発抜きでは難しい。
それどころか、現状維持するだけでも原発なしでは難しいのは、ご覧の通りである。

そこで多くの人が密かに思うのは、原発は維持してもいいけれど、うちの近所には作らないで欲しいということ。

NIMBY【 にんびー 】
という言葉がある。
Not In My Back Yard
自分たちの自治体には作って欲しくない施設のことを言う専門用語だ。

ゴミ焼却場(廃棄物処理施設)、原子力発電所、軍用基地、刑務所などがそれに当たる。

社会に必要な施設とわかっていても、その施設から受ける環境影響、リスクを考えると家の近所にできるのは困る。
そこで、安定的かつ高額な税収がない自治体は、いろいろな権益とセットで NIMBY の建設を受け入れることがある。
産業、観光資源が乏しい地方自治体は、静かにNIMBY施設の誘致を行ってきた。

住民の NIMBY 施設を忌避する意識は、何らかの代償が提示されると薄れることがある。
施設ができれば雇用が生まれる。
刑務所の場合は、受刑者が住民としてカウントされるため、地方交付税交付金、補助金が増額される。

これまで、NIMBYは生活向上の代償として消極的に受け入れられてきた。
だが、これからは意識が変わるかも知れない。

豊かな暮らしも、まずは命と健康があってこそ。
その視点からみて、それを損ねる大きなリスクを抱える NIMBY は避けられるだろう。

一方、有事に強いかという判断も発生する。
たとえば空軍基地。
国際的な有事の際、基地が第一標的になるという考え方をすれば基地はデメリット。
だが、ある程度家から離れているならば、空軍がスクランブルで空爆に対処できることはメリット。

安全、平和に暮らすことが当たり前だと思っていたひと月前。
それと、これからは大きく違っている。

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