王さんのファーストミットに穴が空く
コレクターをやっていて、何が楽しいかと言えば
「手に入らない」ことだ。
何もかもが出せば売れた1997年当時であれば、本当に手に入らないこともあった。
だが、1999年にヤフオクが始まってからは、モノはいつか手に入ることがわかってしまった。
だから、手に入らない時が楽しい。
再販売あるかな
また、ヤフオクで出るかな
amazon の待ちで出るかな
ホントに手に入るかな・・・
まだ手にしていないモノを想い、手にした時の喜びを想う。
その瞬間が楽しいのは、人生は先が見えないから楽しいのと同じだ。
コレクターを始めてから
欲しかったモノは手に入れた。
でも最後に1つ
手にしていないモノ
まだ見ぬ強豪ジン・キニスキーみたいな存在 ^^;)
それがファーストミット
子どもの頃、王さんに憧れていた。中華の達人ではない。巨人の王貞治さんだ。
左利きの僕が、左打席に入り一本足打法を真似すると、野球少年は「おぉっ」とどよめいたものだ。
日本人は右利きが多い。
「いいなぁ、motoは。王さんの真似ができて」
野球少年の夢は王さんのホームラン。左利きであることを羨む友だちも多かった。
守備位置が決まっていない草野球では、2アウトになると一塁のそばに位置を取る。
チェンジになるや否や、ファーストに走り地面をならしたりする。
ここは僕の場所だという無言の主張だ。
手にしているのは、普通のグローブ。
時々、ファーストミットが欲しいことを、それとなく母に伝えてみたが、スルーされた。
仏壇屋の一人息子がファーストミットを買ってもらった時は本当にうらやましく、生まれて初めて金持ちを羨んだ。
ある日、下関球場そばの病院に入院していたおじいちゃんを見舞った時のこと。
病室に「週刊ベースボール」が置かれていた。
そこに王さんが試合で使っているファーストミットが載っていた。
普通のファーストミットでさえ高嶺の花。
ましてや、王さんが使っているファーストミットなど、この目で見ることもできない。
お見舞いそっちのけ、ページに穴が空くほど凝視する。
誰かが「どうしたの?」とつっこんでくれるのを待っていたのかも知れない。
しかし、ここでもスルーされた。
数十年後、墨田体育館に王さんのファーストミットが展示された時は、すぐに駆けつけた。
やはり、穴が空くほど凝視していたら、警備員が後ろから離れなかった。
ただ一度だけ、限りなくファーストミットに近づいたことがあった。
お盆の墓参り、下関に親戚が集まった時だ。
(つづく)
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