統一球とヘッドスピード
2011年シーズンより導入された統一球により、NPB前半戦の戦況は一変した。
打者の本塁打は激減、打率も3割打者が数えるほどしかいない。
その一方、投手は防御率1点代が続出している。
だが、後半戦の様相は変わるはずだ。
後半戦のキーワードはヘッドスピードである。
スイングスピードとは少し違う。
バットの先端が移動する速さがヘッドスピード。
ゴルフではヘッドスピードを上げて(=ヘッドを走らせて)ボールを遠くに飛ばすため、スイングや体調に応じてシャフトの固さを調整する。
野球のバットは軽くすれば、振りは速くなるがヘッドスピードが上がるとは限らない。
ある部分だけを軽くするなどして、重心を変える対応が実際にとられ始めている。
前半戦、飛ばない統一球が、それでも飛ぶケースとして次のことが言われてきた。
1.前でさばく(投手寄りで打つ)
2.引っ張り方向の打球
前でさばくということは、ヘッドスピードが最高値に達した状態でボールに当たっているということ。
その位置は投手寄りであるため、打球方向は引っ張り方向になる。
引っ張った打球が飛ぶのではなく、遠く飛ぶ打球はその方向しかないと言うことだ。
ヘッドスピードは出ていなくても、本塁打を捨てれば打率を上げることはできる。
これまでは外野フライだった打球が、内野手の頭を越えたあたりに落ちるからだ。
7月20日現在(前半終了時)
セリーグ打率上位ベスト10に入っている打者には本塁打0の打者が3人、1本の打者が2人。
打率順/名前/本塁打数
1 マートン 7
2 青木宣親 0
3 長野久義 11
4 宮本慎也 0
5 畠山和洋 11
6 ブラゼル 7
7 平野恵一 0
8 ハーパー 9
9 荒木雅博 1
10 渡辺直人 1
本塁打も打つ高打率の打者と、本塁打を捨てた高打率の打者が鮮明になっているのがわかる。
そして、内野の頭を超える打球になりやすいのは、低めの球だ。
上位球団で高打率の選手は、その安打のほとんどが低めから生まれている。
「投手は外角低めへのコントロールが生命線」
「低めへコントロールできない投手は、プロでメシを食っていけない」
こうした過去の常識は、前半戦については当たらなかった。
ストレートを低めにコントロールできる好投手ほど、本塁打を捨てた打者に徹底的に打たれていた。
元々、飛ばない球を使って優位を築いていたチーム、本塁打を捨て安打の確率を上げる方法を見抜いていたチームがここまでリードしている。
後半は追うチームの選手が「僕は低めをヒット」「僕はバットを改造して本塁打」というように対応し始める。
どのようにチームと個人の成績が遷移するか、大いにたのしみである。
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