20番を追ってきた男
「ハーフ何分で折り返しました?」
声の主は、少し年上風の男性ランナーサトウさんだ。
2時間7分です
「あぁやっぱりね。僕は2時間だったんだけど。ちょっと前半飛ばしてしまって。
最後はその20番を必死に追っかけていたんだけど、追いつけんかった」
マラソンを終えて、人から話しかけられたのはこれで二度め。
一度めは 第1回湘南国際の時。
「それ、デコのサインですか?」
背中の20番に書かれたサインを見て、声をかけてくれたのは、僕と同様DNFでバスに収容された仲間だった。
→失格者の烙印
アップダウンきついですよね~
「けっこう後半、足にくるね~」
サトウさんとはしばし、コース談義を交わした後、
また、次がんばりましょう!
次回レースの健闘を誓い、握手して別れた。
時はまだ4月、体育館の中に入ると、中はひんやりとしている。
更衣室にいたのは3人。
それも僕が着換えているうちにいなくなった。
とにかく、どこに行っても混んでいるということがない。
「レース直後」と名前を付けてあるパックに、レースウェアをたたんで仕舞う。下着の「CW-X柔流」は塩分で真っ白になっていた。
受付でもらったパックを開封する。
おにぎり引換券、お楽しみ抽選券を発見。そういえば、抽選券の締切が間もなくだと放送が聞こえていた。抽選が終わるまで待つより、先を急ぎたいので、そのままパックに仕舞う。
去年は隣りにいたおばさんに思い切り、エアサロンパスを吸わせてしまったが、今年は誰に気兼ねすることもなく"しゅーしゅー"と吹きまくる。
レース中あれだけきつかったというのに、不思議なほど筋肉痛がない。
部屋中がサロンパスで充満したところに後続のランナーが帰ってきた。
いかがですか、明日が楽ですよ。
久光製薬の社員に成り代わり、彼にサロンパスを勧める。
遠慮がちに"しゅー"と吹いた程度で、ありがとうございますと缶が戻ってきた。
荷物をまとめて更衣室を出ると、体育館では表彰式の後、抽選会が始まっていた。
しばらく入口から、中の様子を眺める。
一等は温泉宿泊券。
地元ランナーには嬉しいご褒美になっただろう。
マラソン大会では、シャトルバスは混むものと相場が決まっている。まだ抽選会が続いているうちに、その場を離れて先を急ぐ。
体育館を出ると空はいい天気。
炊き出しのテントから、おばちゃんの声がかかる
「おにぎり、もってって。引換券は出さなくていいよ。ほら」
マラソン後のおにぎりは、いつも楽しみ。これが二度め。
マラソン大会主催者の皆さんには、ぜひゴール後はバナナではなく、おにぎりを振る舞ってもらいたい。
一つ受け取ると、余りぎみなのだろうか、お土産、お土産と2つ手渡そうとするのをやんわりお断りする。
駅か空港で食べるつもりだったが、なにせ、レース中30分に一回摂っていたショッツの効果は抜群。
120kcal×6=720kcal
満腹感があって、とても何か食べたいと思わない。
これはひょっとして太ったかなと思ったが、帰宅して体重を計ると2kg減っていた。
おにぎりは家まで持って帰って、夕飯になった。
運動公園の出口には、ちょうどマイクロバスが停車していた。
この時はこれがピストン輸送中だと思っていて、すかさず乗り込んだ。
これが、この大会唯一の後悔を生んでしまう。
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