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2011年7月 6日 (水)

耐久レースへ

26-27km
見渡す限り、前には誰も走っていない。
マラソン6度めにして、こんなことは初めてだ。
先頭を走るランナーの気分。
アテネ五輪で先頭を切っていた時の野口みずきはこんな感じだったのだろうか。
だが爽快感はなく、頭に血が上っている。
平地は歓迎なのだが、平地には陽を遮るものがなく暑い。

27-28km
27kmは、今日のレースを占う分岐点だ。
去年の長野では、27kmの千曲川を越える橋で、辛さが抜けたことが実感できた。
そこからゴールまでの15kmは、経験したことのない快走。
ずっと笑って走っていた。

「ランナーズハイって経験ありますか?」
何度かそう質問されたことがある。
あの時がそうだったとは言わないが、それに近い感覚は味わったことがあると答えている。

さて今年の自分はどうか。
まだ足は残っている。
意識も十分冷静さを保っている。
悪くないんじゃないか? もしかして、去年の再現か?
そう思うと少し嬉しくなった。
しかし、去年よりも目標を1時間高い所に置いている分、楽しくはない。

30course

28-29km
コースはクランク状に二度左折。
折り返しから東向きに走ってきたが、ここからしばらくは西向きに変わる。
ここで日が翳ったのか、あるいは日よけがあったのか、少し涼しく感じて体が楽になったのを覚えている。
マラソンにおいて、向きが変わる、交差点を曲がるということは、大きな気分転換になる。
道幅は狭い方が走りやすい。
"道幅が狭くて走りづらかった"という人がいるが、それは道幅に対して参加者が多すぎるのである。

46曲め、松沢進の「白虎野の娘」が鳴っている。
数日前、セットリストに加えた新曲に心がリフレッシュする。

29-30km
湘南国際マラソン2011のTシャツを着ているランナーを追い抜いた。
インクがにじんだ不良品ではないか?と騒ぎになったTシャツ。
襟元のメッセージは10種類。
「ジブンのすべてをコースに刻め。」
そのメッセージに勇気づけられた。

苦しさはやがて消える。あきらめた事実は永遠に残る。
これも 10種類ある湘南2011Tシャツメッセージの1つ。
その言葉が、頭をもたげ始める。

2030 GPSが記録した高低差データ

30-31km
平坦な道は見通しがよいが、上り下りの場所では、コースが曲がっていて見通しが悪い。
その分山側の斜面が日陰になる。
これは不幸中の幸い。
前が見通せないことは、とても助かった。
もしも、だらだらと上る坂が、ずっと向こうまで見通せていたら、気力がもたなかったかも知れない。
長い上りがつづき、このラップは7分を超えた。
去年の長野では、すべてのラップが6分台。
7分台は一度もなかった。

走っている時は、一切手元のラップを見ていない。ただ、見るまでもなく、ここでがくっときた。マラソンは一転して耐久レースとなっていく。


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