一番苦しかった1km まさかの8分台?
31-32km
2kmほど前から、新しいペースメーカーは「Mr.アスリート」
ウルトラマラソン・ランナーのような黒いコスチュームで身を固め、体中にまとった筋肉が褐色に日焼けしている。
本来ならば、僕の前を走っているようなレベルの人ではないのだろうが、今日はどこかに不調を来しているのか、時々休み休み走っている。
それでも、走り出すとやはり速い。
みるみる間に視界から消えそうになる。
しかし、すぐ休むのでまた、目の前に迫ってくる。
こういう上級者風のランナーは、抜くのがおこがましくて困る。
片野海水浴場のそばでコースは90度右折。
ここが第二関門で、制限時間は3時間30分。
まさか関門にひっかかるとは思っていないので意に介さなかったが、終わってから時計を確認するとマージンはわずかに12分だった。
右折する寸前、左手に日本海が見えた。
「全国健勝マラソン日本海大会」
大会名に日本海を冠しているが、日本海が見えるのはこの一瞬だけ。時間にしてわずか3秒程度だ。
海を見ながら走ると、さぞかし気持ちいいんだろうなと初マラソンの前は思っていたが、実際にマラソンを走ってみると、景色などどうでもよい。
マラソンのコースを選ぶ基準としては、かなり優先順位が低い。
07:04.3
32-33km
32kmを過ぎた。ということはおよそ200m走るとあと10km。
10kmといえば、練習でいつも走っている。
どうってことはない距離だ。
今年もZARD「負けないで」が流れてきた。
これから先の長い人生、マラソンに音楽を持ち込む限り、この曲はデフォルト。
マラソン・セットリストには、欠かせない。
♪負けないで ほらそこに ゴールは近づいてる♪
って、まだ目の前じゃないんですけど・・ZARDさん
この1kmも上り坂。
再び、ラップタイムが7分台に落ちた。
だが、きついのは僕だけじゃない。
ついに、Mr.アスリートが完全に歩き始めた。そのヨコを素人の僕が追い抜いていく。
小声ですいませんと言った。 結局彼が最後のペースメーカー。この後、僕の前には同じペースで走るランナーは現れなかった。
33-34km
今日のレースで最高に苦しかった 1km
どこまでもだらだらとつづく上り。
GPSの高低差データがそれを裏付けている。
ストライドは30cmにも満たない。
歩いているような速度。
足を動かせ!動かすだけでもいいぞ。前へ進め!必死に心にムチを入れる。だが、弱気が僕を襲う。
まさか、ここで歩くのか?・・・
周りには歩いている人もいる。 いや僕は違う。
まさか、自己ベストの更新もできないのか?・・
恐怖感が身を包む。なんのために、4ヶ月も走ってきたのか。これまでで、最高の準備だったじゃないか。それなのに・・・
いや、いけない。恐れていては体が止まってしまう。今は、自分ができることをするんだ。それに集中しよう。
この1kmのラップは7分56秒。
時計は一切見ていないので気づいてはいないが、まさかの8分台。その一歩手前。
だが、ここからがこの日のマラソンのハイライトとなる。
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