我が心のノモマックス
ゴミ袋に包まれて、電柱の横にたたずんだノモマックスにありがとうと言って、僕は歩き出した。
その日は燃やすゴミの日。
靴ラックの置き場所を1つ空ける必要があり、とうとうノモマックスが廃棄対象となったわけだ。
ノモマックスを買ったのが1997年1月末。
これが靴コレクター始まりの1足である。
それから14年半、いつも靴ラックにはノモマックスの姿があった。
ノモマックスとの出会いは、1996年暮れに出版された「NIKE完全読本VOL.3」ソニー・マガジンズ
イエローグラデがきっかけとなったエアマックスブームが始まってから1年。
この本はNIKE特集ムックシリーズの3冊め。
エアマックスに興味がわいて訪れた「スポーツオーソリティ」の雑誌売り場にあった。
ちなみに、このシリーズの4冊めは出版されていない。
その後、バックナンバーを探したがVOL.1は見つからず仕舞い。
VOL.2は中古市場で買いそろえた。
まだヤフオクがない頃のため、パソコン通信Nifty-Serveの「売ります買います」に投稿。
お金を払ったものの、なかなか本が届かず、半ばあきらめていた頃にようやく届いたのだった。
個人売買がまだシステム化されていなかった時代であった。
ノモマックスの特集記事は、見開き2ページ。
ナイキの開発担当者である金井準一が製作の内幕を語っている。
僕は、モノは機能より見た目で決める男だ。
説明を読む限り、機能も十分な靴なのだが、何よりノモの姿に一目見て惚れた。
こんな靴は見たことがない。
なんという奇抜なアッパー。
美しい青と白のコントラスト。
美しさと高性能を併せ持つかつての愛車、RZ350と相通じるところがあった。
欲しいと思っていたエアマックス96のティアドロップデザインと、イメージがだぶるノモ好感が持てた。
そして、これが裏表紙
広告なのか、装丁デザインなのかも曖昧な1枚の写真。
この写真でどれだけのよだれを垂らし、何度、ため息をついただろう。
そこに書いてあるフリーダイヤルに当時かけると、野茂英雄と開発担当者の対談を聞くことができた。
ノモマックスに惚れた。
ノモマックスが欲しい。
だが、本にはナイキの靴の買い方は書いていない。
ナイキショップが紹介されているが、取扱店一覧はない。
靴だから靴屋に決まっているのだが、この魅力的な靴が、町の靴屋でスリッパやズックと並んでいる光景は想像できない。
インターネットは始まってはいたが、情報は貧弱。
「どこに行けば買えますか?」を聞こうにも Q&Aサイトは、まだない。
知人、友人、同僚に「エアマックスを集めている人」は1人もいないので "詳しい人にきく"ことも叶わない。
この靴を回想する時、いかに現代のネット社会が便利になったかを痛感する。
さて、ここでも頼りになった情報源は、ニフティサーブのコレクターフォーラム(スニーカー)
Gショックの部屋にあったエイドや、ガシャポンの部屋にあったポイント制のトレードのような交換・売買はなかったが、発売情報、商品評価など身近では誰にも聞けないことを、どこよりも詳しく知ることができた。
後にエアマックス94を代行ゲットしてもらったのも、このフォーラムだった。
ちなみに、メディアは現在も「スニーカーブーム」と称しているが、実際に人気が集中しているのは、プロケッズやコンバースが出していた普段履きスニーカーではなく、ナイキ他のメーカーが出しているスポーツシューズ。
正確に言うならば「スポーツシューズブーム」である。
販売店には、正規販売店と並行輸入店がある。
正規販売店は国内メーカー(例:ナイキジャパン)から仕入れるため、売価は定価(正確にいうならばメーカー希望小売価格)値崩れはない。
ナイキは直営ショップも経営していて、正規販売店の人達はそれを「ショップ」と呼んでいた。
一方、海外から個人輸入して売っている店が、通称"並行店"
輸入のため送料などのコストがかかっていますから・・・
という理屈で、値段はプレ値。
premium price=割増価格 正規価格に上乗した値段
こうして、じわじわと知識を積み上げていく。
つづく
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