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2011年8月14日 (日)

人はなぜコロッケを食べるのか?(2)

2,冷凍食品を買って、調理して食べる(または、食べさせる)

冷凍食品の価格を視察するために、近くのスーパーマーケットに出かけた。
その場でメモすると、ライバル・スーパーの社員と間違われるので、売り場で価格を覚えて、駐車場でメモを取る。

牛肉コロッケ6個入り280円 30g×6=180g
チーズコロッケは270円
売られているのは「牛肉」「チーズ」などの付加価値コロッケのみ。
じゃがいも100%、つまり具がないコロッケは売られていなかった。
安いものは利幅がとれないため、店頭では並べにくいと言うことか。

それでは、とんかつはどうか?
150g 298円
240g 398円

コロッケととんかつの間には、さほど価格差がない。
確かにとんかつの方が高いのだが、その満足差ほどの大きな価格差ではない。

ここで主婦は、コロッケを買って弁当に入れた日の夜を想う。
「お母さん、コロッケって、なんか貧乏くさ~い。なんかこうガツーンとしたものが食べたいな。たとえば肉とか」
子どもは全国コロッケ協会の皆さんが、血の気の引くような台詞を平気で言う。
この程度の価格差ならば、主婦はとんかつを買うだろう。

主婦が冷凍コロッケを買うのはスーパー品ではなく、生協の「お徳用コロッケ」だ。
冷凍食品メーカーのノーブランド品の場合、1個あたりおよそ50円。
都心ではところどころでみかける業務スーパーでは、1個あたり20円で売られていた。

わずか20円で見た目は揚げ物、そして、弁当箱においておよそ35平方cmを占有するという働きぶり。。
おかずに困った時のために、備蓄しておきたくもなる。

だが、お弁当にコロッケを入れられた側はおもしろくない。
男は出されたものを黙って食べるもの。文句を言ってはならないと江戸時代から決まっているので、何も言わない。
裕福な家庭の子どもは「また、コロッケ~?」とブーイングをするだろうが、そもそも弁当にコロッケが入っていない。
裕福ではない家庭の子どもは「こう毎日入っているってことは、コロッケって安いんだろうな。大人になって自分でおかずを決められるようになったら、好きなものを食べよう」と心に誓う。

おかずを選ぶ人は、コロッケを「安い」という理由で選ぶ。
食べる人は、好むと好まざるに関わらず、それを食べる。
えびかにのようにアレルギーがないというのも、コロッケが選びやすい理由だ。

「安いから」と結論づけたわけだが、ものごとには例外がつきもの。
数人の方に「あなたは、なぜコロッケを食べるのですか?」という質問を投げかけたところ、次のような回答があった。

●奥さんが美味しい手作りコロッケを作ってくれるから
手間暇をかけ、いろいろな具材を入れて工夫を凝らす。
そして、揚げたてを食べる。
それは、美味いだろう。想像したってわかる。
心の中で「ごちそうさま」と言ったのは言うまでもない。

●コロッケは「おやつ」として食べるから
幼少の頃を過ごした町で、お肉屋さんがコロッケを店頭販売していると、コロッケはおやつであるという認識があるそうだ。
それにしても、子どものこづかいで買える"安さ"がポイントであることには変わりない。

●「付加価値コロッケがあるから」という理由
2000年代に入ってからはファストフードでもコロッケメニューが登場し始めた。
2000年9月14日には、モスバーガーがMOSホタテクリームコロッケバーガー発売した。
マクドナルドは定期的に期間限定メニューでエビコロバーガーを発売している。
ふだんはコロッケを好んで食べないが、限定で出ると食べるということだ。

今もコロッケをよく食べるという人もいれば、進んで食べることはないという人もいる。
今回、多くの人に意見を聞いて感じたのは、皆コロッケには好意的ということだ。

今やコロッケはごちそうの主役格ではない。
しかし、その存在が消えてなくなることもない。
それは、飽きたけれど誰も嫌いになっていないという証左。

かつて、食糧が乏しく、人は皆芋を食って生きた時代、それを揚げて食べるコロッケは大のごちそうだった。その記憶が今も、人々の心の底に眠っている。

そして、時々、献立に回帰する時の動機付けは「安いから」なのである。

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