「マッチ箱に入れてきなさい」
「マッチ箱に入れてきなさい」
この台詞にピンとくる方が今日の対象読者です。
食前、食中の方は食後にお読みください。
昔はそれをマッチ箱に入れて、学校に持って行った。
家庭にマッチ箱があった時代。
マッチ箱といっても、台所に置いてあるような「お徳用マッチ箱」ではない。マッチ1本の長さがちょうど収まる程度の携帯できる箱だ。 まだタバコを吸う父親が多く、100円ライターがなかった頃。
それを家庭から学校に運ぶために手頃な大きさで、なおかつどの家庭にもある。
それがマッチ箱だった。
マッチ箱は紙でできているので、それを入れておくと浸透して外に出てきそうで怖かった。
そして、それはかすかに臭ってきた。
家からそれをマッチ箱に入れて持ってきた朝、先生が集めてくれるまでの時間。
教室にはなんとも言えない空気が漂う。
その学校は給食だったからよかったものの、弁当だったらとても家から運べなかっただろう。
それを採取する行為は苦い、いや臭い思い出として長く封印していた。
時は流れて、マッチ箱でそれを運んだ世代は大人になった。
それも後期の大人になった。
企業には健康診断が義務づけられているが、それの検査はオプションにしている企業が多い。
長らく避けていたそれの検査。
「なにごとも早期発見ですよ」というかかりつけ医師の勧めにより、数十年ぶりにその検査オプションを申し込んだ。
検診の2週間前にそれを採取するキットが届く。
憂うつだ。
そのまま引き出しに仕舞い込む。
検診二日前。
重い腰を上げてキットの封を切る。
それは、予想以上に至れり尽くせりのセット内容だった。
採取は前日だけかと思っていたら、二日前から都合2回採らなければならなかった。
早めに開けてよかった。
さて、その詳しい手順に興味津々という方はいないと思うので詳細は割愛する。
写真を見ていただければ、およその見当がつくと思う。
手順に則ってそれを容器に入れる。
念のため、ケースを入れる専用ビニル袋をさらにレジ袋に入れた。
家から検診会場に運ぶまでの間、もちろん臭うことはなくストレスは感じなかった。
一度経験してみれば、案ずるより産むが易しとわかる。
来年からは、苦もなく憂うつでもなくなるだろう。
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