HGショッカーリペイント人生
バンダイガシャポンHGシリーズは1994年に登場して以来、コレクターにとって暮らしの憩いとなってきた。
200円という安さ。
精巧な造形と彩色
置き場所をとらない小さいサイズ
その存在は、決して広くはないプライベートスペース、潤沢ではないおこずかいで、昔叶わなかった夢を追うコレクターにとって、遊び心のセーフティネットと言える。
ところが、HGシリーズは2007年を過ぎて、めっきり商品展開のペースが鈍ってきた。
売れないのである。
よほどのコアなコレクターでない限り、数点お気に入りの品をゲットすれば満足してしまう。
仮面ライダー98話(1号・2号編)すべてのショッカー怪人をコンプリートしたいと思っているようなファンはとても少ないようなのである。
すっかり展開が鈍ってしまったHGシリーズ。
新しいモノで目先が変わらないので、既出の古いモノに目がいくようになる。
そんな時、脳裏をよぎるのは発売はされたものの出来が悪い品への邂逅だ。
HGシリーズはシーズンごとに「全6点」販売で売ってきた。
売り手としては、できるだけ息長く売っていきたい。
人気アイテムは一気に出してしまわず、できるだけ温存したい。
そのために、全6点の中には目玉となる人気アイテム、つけあわせのアイテムが混在して抱き合わされる。恐らく6点の生産数は均等ではなく、人気アイテムほどレアで、つけあわせアイテムほどダブるようになっていたはずだ。
目玉アイテムは、コレクターが当該セットを「回したい」と思わせるため、工程が多くコストが高くなりがち。だが、制作費は一定である。そこで、予算不足をつけあわせアイテムで吸収する。
仮面ライダーシリーズ2の「怪奇蜘蛛男編」でいえば、戦闘員が付け合わせアイテム。
造形がシンプルで塗り工程も少ない。
ただし、戦闘員は怪人と違いたくさん並べても絵になるアイテム。ダブっても苦にならないという珍しいアイテムだった。
HG仮面ライダーシリーズ最大の禍根はキノコモルグだ。
キノコモルグは初めてライダーをノックアウトし「来週につづく」に持ち込んだ強力な怪人。
群を抜いて怖いその顔でライダーファンのちびっ子に人気が高かった。
キノコモルグがHGに登場したのはHG仮面ライダー第10弾「死神博士 恐怖の正体編」
キノちゃんファンが待ちに待ったHG化だった。
ところが、この編ではキノコモルグがあろうことか、付け合わせアイテム、手抜きコストカットアイテムに指名されてしまったのだ。
このシリーズの目玉は「死神博士」「仮面ライダー1号ライダーキック」
作り込まれた造形や付属部品。十分な工程で塗られている。
人気怪人イカデビルの出来の良さには嬉しくなった。
一方、我らがキノちゃん。
体の塗りが単調なのは元々全身タイツだから仕方ないとして、ひどいのはその顔。
人形は顔が命。キノちゃんも顔が命。
キノコの一筋一筋の精巧さが生命線。
ところが、筋の本数は少ない造形、塗り工程も少ない。
欽ちゃんならば「なんで、そうなるのっ」とつっこむだろう。
なぜ、キノちゃんほどの人気怪人がイカデビルの引き立て役となってしまったのか。
バンダイベンダー事業部の重鎮の子どもがキノコが嫌いだったのか。
真相が語られることはないだろう。
キノちゃん発売から数年後、今はもうなくなった恵比寿のミスタークラフト(2008年閉店)4F個人委託販売ショウケースに、リペイントされたキノコモルグがあった。
詳細に筆を入れた顔。
同じ造形とは思えないほど怖かった。
私の記憶が確かならば・・・値段は1,500円。
当時は新製品が続々と出ていた頃であり、リペイント品を他で見たことはなかった。
元値200円のモノが、塗り直したからといって7倍とは・・
大変興味をひかれたが見送った。
時は流れて 2011年。
個人によるHGショッカー怪人のリペイント品がオークションに出回っている。
アイテムによって、怪人についているファン数が違うようで、競争入札になる場合、単独入札になる場合と様々。
リペイント販売は版権を侵すこともない単なる中古販売。
塗装機材が揃っていて、一定の技術と時間の余裕がある人ならば、お小遣い稼ぎとして好適だろう。
キノコモルグのリペイントが出る日が待ち遠しい。
潜在的キノちゃんファンがどれだけいるか、その時わかるだろう。
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