ニュースキャスターが枕で言い切るようになった歴史
「消費税大増税です」
「**市で連続強盗です」
"ニュース番組"はいつの日からか、言い切りになった。
ただし、現在も"ニュース"では、言い切りはない。
これを始めたのは安藤優子である。
フジテレビ23時台のニュースだった。
従来の"ニュース番組"では
「政府が消費税大増税の方針を打ち出しました」
「**市で連続強盗が発生しました」
というように主語+述語を整えて過去形で表現していた。
まくらで言い切ることには、衝撃的な事実であることを視聴者に印象づけ、注意を喚起する狙いがある。
はじめは少し戸惑ったが、聞き慣れて行くにつれて安藤スタイルとして定着した。
安藤だけがやっている分には、違和感は感じなかったのである。
ところが、2003年頃から「ニュース・ステーション」が真似をした。
久米宏は「できるだけニュースです」とは言っていたが、まくらの言い切りはやらなかった。
だが、となりに座っている渡辺キャスターが言い切りを取り入れた。
それでも、この番組が報道と言うよりはニュースショー寄りであることで、さほど違和感はなかった。
あぁ真似をしたんだ、民法では流行なのかなという程度だ。
すると2004年には「NHKニュース10」でも言い切りが登場した。
"ニュース番組"とはいえ、NHKである。
これで、言い切りは潮流に変わった。
それ以降は、各局のあらゆる"ニュース番組"でまくらの言い切りが使われている。
もちろん安藤の後継者である滝川クリステルも多用した。
言い切りには、どこか甘えた響きがある。
「政府が消費税大増税の方針を打ち出しました」
と言えば紋切り型で、そこには感情がない。
しかし
「消費税大増税です」
と言い切れば
「ねぇちょっと聞いてよ。消費税上がっちゃうのよ!」
とキャスターの心の声が響く。
2011年は数年分とも言える大ニュースが目白押しの年となった。
各局はニュース番組の体制に力を注ぐ。
「えー」を言わず滑舌良く話し、ツッコミが入れば、さらりとユーモアを交えて切り返す。
そんな優秀なキャスターが増えている。
そういうキャスターならば、いくらでも言い切ってもらって構わない。
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