« もっともやってはいけないこと | トップページ | 我が心の五重塔、憧れの太陽の塔 »

2011年12月 4日 (日)

この子って言うな

ユカリさんは、いつも持ち歩いている動物のケータイストラップを愛でている。

「この子がいろいろなことを話して、勇気づけてくれるの」

妄想である。

それを聞いている人はどん引き

ユウコさんは 愛犬の写真を定期入れに入れている。
パソコンの壁紙も同じ犬だ。

「この子が家で待ってくれているから、早く帰らなきゃ」

このような人は20年前には珍しかったが、今はまったく違和感がない。
現代においてペットを擬人化することを非難するのはタブーとなっている。
ペットは家族であると思っている人が多いからだ。

ペットの「この子」のことを「うちの子」と言うことも多い。
あまり連呼するとちょっと気持ち悪いよと、親戚ならばこっそり教えてあげたい。

コンピューター画面に出ているアイコンを指さして
「この子が昨日から出てるのよね」
と言うヨシコさん。

コンピューター用語を言い間違うのならば、
「情報ポータブルじゃなくて、ポータルだよ」
「ハードデスクじゃなくて、ディスクだよ」
「ヘルプディスクじゃなくて、デスクだよ」
と訂正してあげられる。

しかし「アイコンをこの子」と言われると困る。
傷つけてはいけないと思い、誰もが皆黙っている。

コンピューターシステムでいう一つのジョブ。
運用手順の中での1つの業務。
それらを手順書で指し示しながら
「この子とこの子に問題があるんじゃないかと思うんです」
マサオ君が今日も真顔で言う。

くぉの子お~??
と言いたくなるのを我慢する。
無言で抗議しても、もちろん届かない。
カマっぽいのがウリなのか・・

「この子」は夢見がちな人がつかう、人ではない対象を擬人化する言いまわし。
ここに「この子」を常用する4人を紹介した。
3人は女。1人は男。
年齢はそれぞれ60、50、40、25
この子を言う人に性別・年齢の法則性はないが、4人に共通しているのは"子どもがいない"ということである。


| |

« もっともやってはいけないこと | トップページ | 我が心の五重塔、憧れの太陽の塔 »

ノート」カテゴリの記事