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2012年5月27日 (日)

プロ野球 抑え投手がいるならば封切投手がいてもいい!

5月に入って巨人が好調な理由は長野久義を1番打者に起用したことである。
長野久義は打席の中でホームベースから離れて立つ。
投手は打者を標的に投げており、長野が打席に立つと感覚が狂う。
内角を攻めればボールになるし、内角にストライクを投げると長野にとってはど真ん中。
どこを攻めるかも他の打者と変えなければならない。
それゆえに長野が待球してできるだけ多くの球数を投げさせれば、投手の体はそれに順応してしまう。
そして2番打者以降では、それを修正しなければならない。
投手は最も神経を使う立ち上がりに、リズムを掴み損ねてしまう。

打者においても、その逆のケースがある。
ロッテの渡邊俊介のように極端に球速が遅い投手と対戦すると、通常の速度で投げる投手にタイミングが合わなくなってしまうのだ。
打者は2打席めには順応してしまうので、渡邊俊介を打ち崩すことは至難ではない。
しかし、渡邊俊介が降板して2番手投手と対戦した時に、打つのが難しくなってしまう。

世界中の野球には「抑え投手」英語では closer という位置づけがある。
その任務はリードした試合の最終イニングに投げて、試合終了させること。
年間70勝するチームであれば、およそ70回、70日の試合に登板する。
先発、中継ぎの投手と比べて球が速い投手が務めることが多い。
ただし、打ちづらい球を投げるならば球速が遅くてもよい。かつてヤクルトの抑え投手だった高津臣吾がその例に当たる。

そこでNPB球界の監督さんに「封切投手」opner を提案したい。
勝利投手を目指して投げる先発投手とは違う。


流れはこうだ。
予告先発で封切投手を事前に告知する。
相手チームの監督はそれが封切投手であることがわかっているので、2番手に出てくる"先発投手"の左右を読んで先発メンバーを組まなければならない。そこには従来通りの不確定要素がある。
封切投手は1回のみを投げて降板。
複数の封切投手で回す場合は打者1巡が終わるまで投げる。

封切投手に続いて、試合の長いイニングを任せる投手が投げる。これが本来の先発投手だ。
打者は1打席めと2打席めで違う投手と対戦しなければならない。
本来ならば1打席めで球筋を見て、2打席めで攻略すればよい。つまり3回、4回の攻撃あたりから本格的な攻撃態勢がとれる。
だが封切投手が来た場合、攻撃態勢がとれるのが5回、6回からになる。
しかし7回を過ぎると今度は setupper やcloser が出てくる。
結局、打者はどの投手とも1~2打席しか対戦できない。
こうなると駆け引き、読み、データの比重は下がり、感覚的な本来の能力に頼らざるを得ない。
どんな球が来ても打ち返す、いわゆる天才肌の打者以外は、試合のリズムを作れなくなる。

先発回数、勝利投手といった古来からの記録にこだわる投手はこういう起用法を嫌うことだろう。
だがそれ以上に、相手チームの監督に嫌がられるはずだ。

プロ野球監督にとって、第一命題はチームとしての勝利。投手個人の記録ではない。


強力なビッグネームの投手陣を揃えて王道を往くチームに封切投手は要らない。
名もなき戦闘集団を率い、下位に甘んじているチームがあり、もしも女子高校生がその監督になったならば、この技術革新 innovation を行うに違いない。

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