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2012年5月29日 (火)

金冠日食から学んだこと

あぁこれが日食メガネか
ウルトラマンやウルトラセブンもあるのか
送料込みで1480円ねぇ
どこかで580円くらいで売っているんじゃないかな・・・
そう考えてamazonのページを閉じてしまったのが間違いだった。

いよいよ金冠日食まで2日となった土曜日。
amazonで見送った日からその日まで、日食メガネ売り場に遭遇できずにいた。
なにせ日頃は、書店とコンビニしか行かない。
東急ハンズに行けば買えるらしいが、通勤路にハンズはない。

あと2日となると、これからamazonで注文しても日食に間に合うかどうかが微妙だ。
プライム便を使えば届くのだろうが、そこまでしなくても、本腰を入れればきっと何処かで見つかるだろう。
その考えも間違いだった。

いよいよ金冠日食が翌日に迫った日曜日。
twitterを見ると東急ハンズが「入荷しました」とtweetしているが、渋谷は遠い。
"日食メガネを買う"という強い意志を持って家を出た。

まずは家電量販店へ。
ワゴンセールで風変わりな品を置いているこのチェーン。
日食メガネの臭いがぷんぷんと漂ってくる。
しかし、店内をひと周りしたもののそれらしき姿はない。
念のために40代(推定)男性店員に確認する。

日食メガネは置いてないんですか?
「すみませ~ん 売り切れちゃったんですよ」

日本では会話が幼児化している。
会社内では部下が上司に
商取引では売り手が買い手に
そして客商売では店員が客に
「**しちゃった」
を平然と使う。

なんで"売り切れちゃった"なんだよ。そこは"売り切れました"だろう。
と言いつつTSUTAYAへ。
日食メガネ付きムックに狙いを定めている。
レジにいた店長さんらしき男性に尋ねる。

日食のメガネありませんか?
「もう売り切れたんですよ」

そうか、やはりここにも数日前まではあのメガネがあったんだな。
そして、最後の頼みである地場の百貨店へ。

日食のメガネありませんよね?
「えぇ、終わったんですよ~」

レジ係の愛想のいい20代(推定)女性店員。
若いけれど"売り切れちゃった"とは言わない。

こうしていくつかの店に足を運び、ここ数日いろいろな業種の店がこぞって日食メガネを陳列していたことがわかった。
しかし収穫はゼロ。
唯一の収穫は、言葉遣いが幼稚なのは年齢に拠らないとわかったことだった。

やはりあの時、amazonで即ゲットしなければいけなかったんだ。
新聞やテレビでは「肉眼で見るのは危険だ」と周知している。
仕方がない。
明日は雰囲気だけ味わうことにしよう。

そして迎えた金冠日食の朝。
部屋の窓から入り込んでくる弱い光をみて、空が曇っていることがわかる。
これではメガネを買えた人も見れないのではないか。

ところが外に出て空を見上げると、雲がほどよく日の光を遮り、金冠の○が見えた。
その一瞬で十分だ。
あとはゆっくり夜のテレビニュースで見ればよい。

その日は1日じゅう、目の奥が痛んでいた。
もしかして、やってしまったのか・・・
不安な気持ちで過ごしたが、翌日には痛みがあったことすら忘れていた。
事前にニュースで見ていた日食網膜症の症状をイメージし過ぎていたのである。

金冠日食の夜
テレビニュースでは、日食メガネをかけて一斉に空を見上げる人々が映し出された。
異様であり可笑しい絵だったが、とてもいい気分になった。
誰もが幸せそうに見えたからだろう。
一方、厚い雲に覆われた空を見上げて、念力で雲を飛ばす体操をしている人たちを笑えなかった。

金冠日食の翌日
開業日に集ったスカイツリーを見上げる人々にも、幸せな空気はなかった。
幸せの源泉は太陽なのだ。
いつもそこにあるものを人はあまり見ていない。凝視はしていないということを学んだ金冠日食の日々だった。

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