スペイン-ポルトガル ユーロ2012のベストカード
いよいよユーロ2012も残すところ3試合。
6月28日 3:45
準決勝 スペイン-ポルトガル
6月29日 3:45
準決勝 ドイツ-イタリア
7月2日 3:45
決勝
スペインとポルトガルは、2大メジャー(W杯、ユーロ)では2年前に対戦している。
2010年6月29日
W杯2010南アフリカ大会
ベスト16
スペイン-ポルトガル
後半18分 ビジャがGKエドワルドと1対1でシュート。
エドワルドが弾いたボールは再びビジャの足下に戻り、二度めはゴールに押し込まれた。
この瞬間にポルトガルのW杯が終わった。
1-0というスコアは、サッカーにおいては大きな差であることが多い。
守勢のチームは慎重に守り、ほとんどチャンスがない。
攻勢を取るチームは1点を先制した後、無理をせず慎重に攻めるからだ。
しかし、この試合では両者に差がなかった。
スペインの1点はオフサイドだったからだ。
イニエスタがペナルティエリア内にいたシャビにスルーパスを送る。
この時、ポルトガルDFの右足膝から下が後ろに折れていて、その分シャビはオフサイド位置ではない。
だがシャビがこのボールをヒールで後ろに流す。
これは、スルーではない。試合後に映し出されたリプレイを見ると、ボールはシャビの横で加速しておりシャビが当てていることがわかる。
その時、ビジャはオフサイド位置にいた。
シャビの行為はプレーかスルーか、それが1点の分かれ目となるわけだが、副審は旗を揚げず主審はゴールを認めた。
時は2年流れた。
2年前、その実力が拮抗していた両チーム。
今回もまた両チームを左右に載せた天秤ばかりは、ほぼ真ん中で均衡を得ている。
大半のサッカーファンとメディアがスペイン圧倒的有利と言う中で、均衡を主張するには理由がある。
「ポルトガルには、もうおかしな監督がいない」ということだ。
サッカーは不安のスポーツ。
人間にとって最も制御ができて頼りになる「手」を使わず、あまり言うことを聞いてくれない足を使う。
それゆえにゴールは偶然の産物である。
どちらかが1点をとった場合、引いて守る相手から1点を取ることは一層困難を極める。
だからこそ、自らの偶然に懸念を抱き、相手の偶然に怯えている。
その不安に一本の芯を通し安定をもたらすのが、ファンの応援であり、監督の戦術だ。
今回は互いに経済状況が厳しい両国。ファンの声に大差はつかないだろう。
そこで監督の比重が高まる。
2年前の監督は常軌を逸していた。
その監督はスペインに敗退した試合で、司令塔のデコをメンバーから外した。
はじめからデコが居なかったチームではなく、デコを起点にした攻撃で戦ってきたチームからデコを抜いたのである。
それは、デコが初戦後に口にした監督批判に対するペナルティ。
チームは心身共にずたずたの状態だった。
敗戦の将は「こんな未熟なチームだから仕方ない」といった主旨のことを言った。
もちろんW杯後に解任されている。
監督が勝たなくてもいいと思っているチームが、全力を出すのは難しい。
今回、ポルトガル選手は勝つことに集中できる。
ロナルドを中心にした攻撃をスペインがしのぎながら、一瞬のすきをついて裏を取る。
できれば決勝で見たかった、ユーロ2012全31試合中、最高のカード。
まるでレアル・マドリーとバルセロナのクラシコのようなスリリングな試合になるだろう。
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