最後に笑ったのは、苦手のDNAを克服したチーム
2012年秋にも、その到来が危惧される欧州発の金融危機。
その当事国として厳しい状況にある両国が決勝に進んでいる。
特にスペインはサッカーどころではない状況だ。
スペインはゆるやかな連邦制度をとる多民族国家。
元々代表チームのサッカーに対する関心は低い国だが、現在は2大メジャー2連覇中。
さすがに街はお祭り騒ぎかと思ったら、決勝を控えた街は沈んでいる。
パブリックビューイングのモニターを立てる無駄な金があったら、経済をなんとかしろと人々が言っている。
ポルトガルが進まなかった決勝をライブで見る必要はないので、ネタバレ対策を施して1日を過ごす。
できるだけ人混みを避ける。小沢離党のニュースと共に「スペイン三連覇」といった見だしが出ているかも知れないので夕刊紙スタンドには近づかない。
最後の難関は宅配の夕刊。慎重に新聞を目の届かぬ場所へ追いやり、無事に録画再生スイッチを押すことができた。
スペインのユニフォームは1stの赤×紺
イタリアも青×白の1st
互いに1stの色合いが競合しない。
<前半>
0分 なにやら画面に大勢の人が入っている。いつもの2倍以上の人数がいるかのよう。
両チームがコンパクトに密集しているのだ。
イタリアが高い。スペインのエンジンがかかる前に一気に決めようという作戦だ。
ユーロ決勝という大舞台には似つかわしくない、慎重さを欠く布陣の両者。
こういう試合をスタンドから見ると、最高に面白い。
イタリアに押し込まれて怒ったのか、スペインが押し込んでシュートを連発するがいずれも枠の上。
スペインは早い時間帯のシュートは枠内に打ってはいけないという内規でもあるのだろうか。
今回のユーロでは、スペインが早い時間帯に枠をとらえる光景を見ていない。
目を引くのはシャビの風貌。2006年頃追っかけで見ていた頃と比べると5歳は若返っている。エステに通い高価なサプリでも飲んでいるのか。
14分 守りが薄い敵陣にセスクが切り込み、シルバのヘッドで先制。
15分 イタリアが好位置からFK。DFに当たる。
25分 ピケにイエローカード
一方的に攻め込むイタリア。まだ希望はつないでいる。
40分 オフサイドラインぎりぎりから裏をとったのはDFアルバ。ブフォンの右を抜いて2点め。
勝負の興味は一気に薄れてしまった。
43分 混戦からイタリアのシュートはカシージャスがパンチで叩き返す。名ゴールキーパーの2人だが、同じグラウンドに立つとカシージャスの優秀さが際だってわかった。
45分 裏へ抜けようとしたイニエスタを倒しバルザッリにイエローカード。
<後半>
5分 裏に抜けたイタリアのシュートはカシージャスが前へ詰めて弾く。
11分 モントリーヴォに替えてモッタ。果たしてモッタに救世主の働きができるか。
12分 バロテッリのシュートは大きく上へ外れる。準決勝とは打って変わり「焦っています」と顔に書いてある彼は、プレーの精度をどこかに置いてきたようだ。
13分 シルバに替えてペドロ
16分 入ったばかりのモッタが負傷退場。わずか5分の出場のために交代枠1枚を使ったイタリアも痛いだろうが、モッタの心中を察すると辛い。U23ブラジル代表→イタリアA代表という奇異な代表歴は有終の美を飾れなかった。
17分 FKからPKエリア内の競り合い。スペイン選手はバロテッリのユニフォームを引っ張るわ、肘を入れるわ。2点差の余裕でPK覚悟のやり放題。自分たちがPKをもらうことはあっても、審判が相手にPKを与えることはないと高をくくっているように見える。
30分 セスクに替えてトーレス
38分 イタリアのミスから裏に抜けたトーレスがブフォンの左へゴロのゴール。
43分 裏に抜けたトーレスは曲芸のようなアウトステップ。大股でやってきたマタが押し込む。これでユーロ決勝史上最大得点差。
スペイン 4-0 イタリア
決勝は「イタリアさんドイツに勝ってくれてありがとう」とスペインの選手がほくそ笑んだ時に終わっていたかのような凡戦。
面白かったのは初めの5分だけ。
12時間も「ネタバレ」と戦ってきた甲斐のない試合だった。
終わってみれば「苦手のDNA」を乗り越えたチームが優勝チームだったと言うことになる。
W杯2014まであと2年。
ポルトガルは、その言語を話すかつての統治国ブラジルが舞台となる。
地の利を発揮して、今度こそドイツとスペインを倒さなければならない。
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