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2012年8月 7日 (火)

内村航平が挑む2016年リオ五輪体操に望む3つの改善

内村航平のロンドン五輪は種目別ゆかの銀メダルで幕を閉じた。

今回、内村の成績は
団体「銀」
個人総合「金」
種目別ゆか「銀」
圧倒的な実力差を誇る内村にしては、少しだけ物足りなさが残る結果だ。

数ある競技のなかでも、体操は比較的イコールコンディションで行われる競技。
トラック競技やアーチェリーのように風の影響をうけないし、トーナメント競技におけるくじ運の善し悪しもない。
本来、審判が優劣を決する競技には不公平がつきものだが、今大会よりビデオ判定が導入されたことで公平性がが増した。

ただそれでも気まぐれは起こる。
事実、内村に2つの不運な巡り合わせがあった。
次に挙げる点については、2016年リオ五輪までに改訂を検討して欲しい。

1つめは団体総合における、演技順の見直しだ。
決勝において、日本チームは6種目すべてを同時演技の地元GBRに送られる大歓声のもとで行った。
競技中、微妙なバランスを保ちつつ集中している時、突如わき上がる嬌声。
影響を受けたのは、最終演技の鞍馬で内村が着地を失敗した場面だけではないだろう。

一方、日本と同組でまわった中華人民共和国はすべての演技が、GBRチームが休んでいる時だった。
これは公平を欠いている。
改善するとすれば、同組のなかで前半と後半では演技順を逆転すればよい。
現状は先→後→先→後→先→後 という交代だが、これを二組にひと組は先→後→先→先→後→先に変える。
こうすれば、今回のように日本だけがずっと不利という状況は生まれない。

2つめは、個人種目別の進行スケジュール。
今回、内村はくじで1番を引き、1番手で演技をおこなった。
選手たちは8人で行進してきて整列し、名前を呼ばれて観客の声援に応える。
そのまま間髪を入れずに演技が始まるため、1番めの演技者だけは直前のウォームアップができない。

結果的にEスコアでは最高だった内村だが、Dスコアの低さで金メダルに届かなかった。
「なぜもっと難しい演技構成にしなかったのか。内村ならばできたのではないか」
そう思った人も少なくないはずだ。
体操選手は演技直前に構成を変えることは難しい。それは内村でも同じこと。
一般的な選手は事前の準備段階で構成を変えることさえ難しい。だが内村にはそれができる。
しかし、ウォームアップができない1番を引いた時点で、難度の高い技を抜く判断に至ったのである。

表彰式を終えた内村は、納得の演技であることを強調した。
だが、その後の取材では「演技が1番めでなければリ・ジョンソンを構成に入れていた」と語っている。

これについては入場→選手紹介後、一番目の選手がウォームアップできる程度のインターバルをおけばよい。
「くじ運も実力のうち」などと片付けず、リオでは内村航平により公平な競技環境が用意されることを願う。

体操全体としては、跳馬競技における環境の改善を望む。
内村が"日本男子個人総合28年ぶりの金メダルである"ことを紹介する際、具志堅幸司の跳馬の映像が使われていた。
多くの人が、昔はあんなに細い跳馬で跳んでいたのかと驚いただろう。
跳馬はかつて大きな事故が起きたため、現在の仕様に改良されたのである。

以前に比べれば格段に安全性は増しているが、得点の稼ぎどころであり高い難度に挑戦する競技ゆえ危険は去っていない。
今回、男子では山室が負傷し、女子でも種目別で負傷による無得点があった。
現状の器具ではさらなる不幸が危惧される。
ロイター板(踏み切り板)のバネの仕様はメーカー間で統一する。跳馬そのものの幅も広いほうがいい。
ライン幅はそのままで、着地マットの幅をさらに広げてほしい。

ロンドン五輪2012メダル一覧

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