世界一の缶コーヒー
坂を下りながら、走ってくる人をみる。
この坂は反則だよなぁ
制限時間の6時間まであとわずか。
受付会場のヨコでは大太鼓、長胴太鼓の応援が続いている。
走っている時はどんどんどんという振り下ろしが心に響く。
レースを終えた今は、ふち打ちのカラカラという音が心地よい。
京成佐倉駅まで行くシャトルバスの乗り場には長蛇の列。
その列で諦めて、歩き始めるランナーが多い。
とてもあの距離を歩きたくないので、リングメモを出して今し方終わったレースのメモをとる。
待つこと10分程度でバスに乗ることができた。
諦めて歩き出したランナーは、まだ道のり半ばにも達していない。
帰りの電車はできれば、座って帰りたい。
ちょうどホームにいた快速は乗車率200%。
ひとつ見送って、次にきた普通はゆったりと座れた。
都心から来たランナーたちは、その次にくる特急に乗ったからである。
急ぐことはない。
僕はゆっくりでいいや
去年のレース後はいろいろと前向きなことを考えていたが、今は次のことは考えられない。
でも失敗レースじゃない。失速じゃないんだ。
経験値は上がっている。
走ったのは42kmじゃない。ここまで14週間数百キロを走ってきたんだ。
おつかれさま。よく頑張ったね。
こういうことを、誰かに言ってもらいたい。
ホームで買ってきた缶コーヒー。
電車の中で飲んでもうまくない。
桜井和寿は「1999年、夏、沖縄」で
「世界一のお酒を見つけました。それは必死で働いた後の酒です」と唱う。
僕が今シーズンのマラソンで見つけたのは、必死で走り終えたあの一瞬が美味い、世界一の缶コーヒーだった。
体は依然として失った水分を求めている。
レース後の給水用につくっておいたリプレニッシュ入りのOS-1がたまらなく美味い。
今年取り入れた「リプレニッシュ」「OS-1」は、新たにマラソン定番に加わった。
レースを終えて3時間余、電車が江戸川を超える頃
「よくやった満足感」が出てきた。
後半は何度も「さいてんか」して頑張った。
後でラップタイムを見ると、中間点から後半は前半より5分速かった。
体は疲れている。明日からはゆっくり休める。
帰ったら早めのパブロンを飲もう。
マラソン人生は、レース毎に失望感、達成感、さまざまな非日常が交錯する。
今年は失望感の年。
それでも、マラソンを嫌いになることはない。
飽きることはあっても、嫌いにならなければ、人はいつかそこに戻ってくる。
[○][×]の2枚のプラカードを持って「走ることは好きですか?」と聞かれたら、今ならば[○]を上げる。
おわり
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