佐倉の坂道で蛇行
41~42km
「あと500m」
脳はラストスパートを求めているが、足に力が伝わらない。
昨日の下見で、この坂のことはよく頭に入っている。
あぁここから先、坂はきつさを増すんだ。
野球場へ進む道とY字に分かれるあたりで、ほとんど前に進めなくなった。
泥酔した時のような、へろへろの千鳥足。
右に左に蛇行する。
初マラソンの時の福士加代子のようだ。
こんなところを人に見られたらどうしよう。
もし知人がいて、見かけても気の毒で見て見ぬ振りをしただろう。
後続のランナーは危なっかしくて見ていられなかったのではないか。
後で知るのだが、誰でもそこでは似たような気分を味わっていたのだった。
暗澹たる気持ちだ。
ここまで41km、目標タイムへの望みをつないできて、ここであきらめなければならないのか。
「夢は諦めなければいつか叶う。諦めればそこで終わり」という言い回しがある。
"諦めればそこで終わり"は間違いないが、"いつか叶う"はちがう。
「叶う人もたまにいる」のほうが真実に近い。
ダメだとは思っていない。諦めてはいない。
だが、この動かない足はどうしようもない。
歩いているつもりはないが、周りから見ればどう見ても歩いているスピードだ。
やがて坂が終わり、競技場の門をくぐる。
あとはゴールまで、一直線のストレート。
道は平坦であり、足が推進力を取り戻している。
だが、もう自己ベストラインはゴールラインの向こうへ行ってしまった。
目標もなくなった今、ラストだからと言って全力で走る気にはなれなかった。
前回(29回)大会に出場した友人から「ゴールがどこにあるかわかりづらかった」と聞いていた。
レース前には「今回、改善されているだろうか」と考えていたが、すっかり忘れていた。
きょろきょろしなくても、ゴールはそこにあり、時計を止めた。
最後の1kmは直前の1kmよりも、40秒遅い。
しかし、目標タイムとの差は1分40秒あった。
坂の失速がなくても1分は届いていない。
0km→1km 渋滞で40秒のロス。
38km→39km 砂利道で15秒のペースダウン。
マラソンは、予期せぬ出来事が起こるのだ。
また、1つ経験値が増えた。
入りの5kmをゆっくり入り、ゴールまで均一ペースを守る。
その計画通りのレースは会心のもの。
それにも関わらず、自己ベストに届かなかった要因は、中間点までに借金を作ってしまったことだ。
前半に無理をしてはいけないのだが、今回は無理をしなさ過ぎた。
| 固定リンク | 0
「しらべるが走る!」カテゴリの記事
- 我が心の引退レース(2022.03.09)
- 長崎平和マラソン エントリー方法発表!(2020.02.12)
- 大迫傑曰く「タイムは気にする必要はない」(2020.01.21)
- マラソンの最後の1kmは、それまでの41kmとは絶対に距離が違うと思う(2020.01.20)
- 地道に走り、最下位を脱出(2020.01.18)