11年間、棚に根付いていた普遍的な本
2001年に買った時、いつか読む日が来るだろうと思って棚に立てた。
そのまま11年が過ぎ、ようやく棚から抜いた。
11年放っておいても情報が古びたり、内容が色あせたりすることはない。
きっとそれはいつ読んでも、新しい価値を提示してくれる。
そう確信があったのは、その本が「教科書」だからだ。
その本は「新しい教科書を作る会」による「市販本 新しい歴史教科書」
「新しい教科書を作る会」は西尾幹二・電気通信大学教授が主宰する会。
1997年西尾教授と数人の作家たちにより発足した。
1997年度、歴史教科書に一斉に取り上げられた「従軍慰安婦問題」の削除を求め「新たな歴史教科書を作り歴史教育を立て直す」と宣言。
教科書検定を経て、学校での採択10%を目指した。
また、各地方自治体に対して教科書採択が教師主導ではなく、本来の教育委員会主導で行われるよう求めた。
学校の教科書採択は各学校の当番となった先生が見本を閲覧して合議。それが当該採択地域の決定となる慣例がある。
学校で使う「教科書」は2001年4月3日に検定合格。
検定意見がついた歴史137項目、公民99項目を修正したことで合格となった。
4月25日、和田春樹東大名誉教授らが事実に関する部分だけでも51箇所の誤りがあると指摘、修正を求める声明を発表した。
そして、同年6月10日「市販本 新しい歴史教科書」が店頭で発売された。
作る会が編集した2002年度以降用の中学歴史、公民の教科書を扶桑社が書店ルートで流通させたのである。
教科書は市販されないので、書店で買える教科書というのは斬新だった。
また、近代史の歴史認識が従来の教科書とは一線を画す編集内容のため話題になった。
社会に出てからの時間が長ければ長いほど、人は教育と学習から遠ざかる。
国は「リカレント教育」という言葉をつくって、社会人が学校に戻って学び、再び社会で活かすことを提唱したが、日本企業にそのような文化はなく、根付かなかった。
というよりも、誰も知らなかった。
さて、11年もの間、棚に根付いていた市販本の教科書。
横に検定教科書を置き、引き比べたわけではないが、認識が検定教科書と違っていることはわかる。
それを、ある人々は「歴史の直視」と呼んでいるのだろう。
どう視るかは個々に違うので、他人から直視しろと言われる筋合いではないが、なるほどと思うことはあった。
なかなか速読というわけにもいかず、2日を要した。
学生の頃、1年かけて学ぶこの教科書を2日で斜め読みする機転があれば、人生は今とは違っていただろう。
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