川口浩の探検隊か!
え、そう?おかしいな
わざとらしく天井の座席表示を見上げる老人、藤井さん(仮名)
少し腰を浮かしてD席へ移動する。
その前をすり抜けて窓際のE席へ。
カメラとほぼ日手帳をテーブルに置き、網カゴにOS-1。
リュックを足下に置いてたたずまいが決まる。
飛行機と比べて前後、左右の幅ともに新幹線はゆったりしている。
東海道を走る700とN700はいずれも16両編成。
これはホームの信号システムを画一化するため。
普通座席はすべて5人掛け。これは別系統の車両で代走が効くよう、座席数を統一するため。
乗車したのは5人掛けの普通車だが、旅の復路に乗ったJALのボーイング777よりもくつろげた。
ただし、それはとなりの人に大きく左右される。
「サッカー惜しかったねぇ」
は?
あぁ、負けたんですね。
その日はロンドン五輪女子サッカー決勝の日。
未明からの試合を途中で切り上げて、品川駅にはいっていた。
いきなりスポーツの結果か
まぁ、帰ってから録画で見るわけでもないから、いいか。
「アメリカはやっぱり強いね」
はぁ
袖触れ合うも他生の縁
旅は道連れ
一期一会
いろいろな格言が瞬時に左の耳から右の耳へぬけた。
生返事にしておかなければ、隙を突かれてしまう。
他人の席にかけておいて、詫びすら言わない。その老獪な無恥に共感するのは難しい。
7:01
新横浜を出て9分。
車窓にみえる家が低い 田園風景 癒しの旅
自然が始まった。
7:07
小田原
夏の日が射してきて上り列車を待つ人が暑そうだ。
ホームにオレンジ色の自販機が見える。
本線(通過線)右側のレールが高い。
駅が左カーブの中に作られているからだ。
速達列車の追い抜きはなく、2分後に発車。
ここから山間。ほとんどトンネル。
駅間の写真が撮れぬまま、熱海が近づいたアナウンスがはいる。
7:16
熱海
新神戸と共に2つだけの2面2線駅。
斜面のJR小田原駅より一段高い、わずかなスペースに作っているため、待避線がない。
従って熱海で後続列車に抜かれることはない。
駅が屋根で覆われているのは、土砂災害対策なのだろう。
「駅を出てトンネルを抜けたら右側に丹那トンネルの犠牲者を祀った神社があるから、写真撮るといいよ」
じいさん、ではなく藤井さん突然のアドバイスだ。
こちらが一眼レフカメラを持っているので、ここは絶景ポイントを指南してポイントを稼ごうということか。
撮影ポイントとしてノーマークだったので、すかさずカメラを構える。
せっかくのアドバイスだし、いい写真が撮れればそれに越したことはない。
7:18熱海を出た。
トンネルを抜けた。
カメラを向けた。
神社は・・・なかった。
あれぇ、おかしいなぁ
と窓に顔をすりつけんばかりのじいさん、じゃなくて藤井さん。
あのあたりの森がそうかな。
というので、あれですかっ とか調子を合わせてシャッターを切る。
これでは、川口浩の探検隊だ。フルイ
今その写真を探したが見つからない。
なぜだかはよく覚えていない。
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