キンタマをにぎる
恐らく、この話を読んでいる方の中で
キンタマをにぎったことがある人
キンタマをにぎられたことがある人
はとても少ないと推察する。
ここでは
キンタマをさわる
キンタマをさわられた
キンタマをにぎった(自分の)
という話は除外する。
キンタマをにぎられて気持ちがいいという人はあまりいない。
キンタマをにぎった手に力を込められると、とても痛い。
呼吸ができなくなる。
さらに力強くにぎられた時には、いろいろな不都合が起きることになる。
従って、強くにぎられた場合、数秒で「まいった」をしなければならない。
そういうリスクがわかっているオスは、キンタマをにぎられた状態は相手に主導権をにぎられた状態と言える。
目の前の相手が、自分のキンタマをにぎった手をどうしようとしているのか?
万が一にも、強い力を込められては困る。
できればすぐ、その手を離して欲しい。
そうするためには、何らかの見返りを提示する必要があるだろう。
相手がにぎり続けている限り、相手の言うことに逆らえない状況が続く。
「僕は大所(おおどころ)で勝負するタイプですから」
と先輩に言い放たれた翌日、ある業界団体の先輩からこう言われた。
「君が担当している●●県は、サトウ商会のサトウ会長のキンタマをにぎれるかどうかだね。サトウ会長のキンタマをにぎっておけば、数字はついてくるよ」
サトウ会長のひなびたキンタマを想像して、いや、僕はにぎりたくないです
という言葉をのみ込んで、考えていた。
"キンタマをにぎる"とはどういうことか。
古来からの正統な言い回しでいえば"懐に入る"が近いだろうか。
確かに、重鎮と言われている人の懐に入ることができれば、それがすなわち"大所で勝負する"ということなのだろう。
いずれにせよ、大所で勝負するだとか、キンタマをにぎるだとか、社会の先輩たちはいかに楽をして確実に数字をあげるかを考えているのだな。
もちろん、キンタマをにぎることは悪いことではない。
確かにその時、にぎれるものならば、にぎってみたいと思っていた。
(ちなみに、その後、サトウ会長のキンタマを握ることになった)
あれから長い年月が経ち、今言えることは次のことだ。
若年の頃から「大所で勝負するタイプ」などと老成したことを言い、要領を追求した人に、仕事の醍醐味、涙が出るほどの達成感は味わえなかっただろう。
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