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2013年3月 1日 (金)

ひとり暮らしを始める君へ

あれだけ冷たかった風がぬるんで、今年も無事な春が来るのかとありがたさを感じる季節。
卒業、進学、就職
これからの一か月はその門出を迎える君たちにとって、準備のひととき。

ひとり暮らしを選択した君は、アパートを選ぶ。
かつては畳の部屋ばかりだったが、今はフローリングだ。
風呂とトイレがついていれば、十分豪勢。
パンツ一枚でトイレに行くことができるし、どこで服を脱いでも風呂はそこにある。
風呂とトイレは別々じゃなくちゃなんて、贅沢じゃないか。

電器製品を買い集める。
電子レンジがあれば、電気が来ている限りどんな時でも、暖かい食事ができる。
冷蔵庫、テレビ、エアコン・・・
一度にそろえると、不自由という楽しみを味わえないぞ。

電話はどうするんだ。
あ、そうか。
今は1人一台の時代だったな。

胸ときめかせて、君はわくわくしているだろう。
事実、ひとり暮らしは楽しい。
それは思わず頬が緩むといった楽しさではなく、自由が創り出す平穏と寂しさ。
それを自ら統制することが楽しいのだ。

でも、君は少しだけ立ち止まって考えなければならない。
これまでと同じ場所に残される、親御さんや兄弟のことだ。
彼らは、経験したことのない喪失感を味わうことになる。
家族から見て、君が進む道はまばゆいものだ。
これまで、ずっと人数が固定されていた家族という枠組みに、電車ががちゃりといって連結器から逃れるような振動が起きる。

君がしなければならないのは、定期的な電話ではなく、無事に暮らすことだ。
いつ災害が起きるかも知れない。
街に出れば、危ない目にも遭うだろう。
家の中にいても、ガス、電気なにが君の命を狙うかわからない。

君が元気に暮らすことが、見守る者の希望になる。
しょぼくれていたら、罰が当たるぞ。

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