あの人が、同窓会に来ない本当の理由
新年度が始まる頃、同窓会の知らせが届く。
同窓会が開かれる時期は、地域によって傾向がある。
都市圏であれば夏休みを外した時期。
地方であれば、都市からの帰省者が参加しやすいお盆前後だ。
同窓会の幹事は、いつも頭を悩ませている。
参加者は特定のメンバーに固定化されており、年々、先細りしていく。
若年層は、同世代での交際費には糸目を付けないが、メリットのない呑み会には来ない。
おじさん・おばさんと呑むことにメリットを無理に見いだすよりは、携帯の支払いに充てたい。
安定的な集客ができなければ、運営そのものが危うい。
できれば、これまでに参加したことがない中高年を掘り起こしたいところだ。
なぜ、あの人は声をかけても来てくれないのだろうか。
ようやく探し当てたメールアドレス。
同期のあの子(この場合おばさんのことだが)も来るわよ
あいつ(この場合おじさん)も来るぜ
幹事があの手この手で熱心に誘う
だが、返事は芳しくない。
仕事が忙しいんです。
家庭の事情があってね。
ありきたりな理由だ。
世間はそれで通る。
でも、本音は得てして違うものだ。
本当は、禿げたのだ
30代~40代は、禿げているとみっともないという意識が働く。
「同級生は皆禿げてますよ」
と案内状に書いてくれれば安心して行けるのだが、実際全員が禿げたりしない。
同窓会に初参加したものの、自分以外はふさふさで、禿げているのは自分だけだった。
そんな惨めな映像は想像しただけで怖い。
ところが50代以上になると、もう禿げていてもおかしくない年代。
禿は理由ではなくなる。
あなたの同窓会で、もしも40代のテーブルが女性ばかりだったら、それは禿げた人が多いのだ。
実は太ったのだ。
高校の頃の可憐な容姿。
跡形もないくらいに太った体。
わぁ、スズキ君久しぶり!
とにっこり笑ったら、目は何処にあるんですか
と言われたりすると、立ち直れない。
同窓会に出ている女性は、そこそこにスタイルを維持している。
女性は誰でも若くてキレイならば、そんなところを誰かに見て欲しい。
その逆も真と言うことだ。
禿げていない、太ってもいない・・・
実はお金がないのだ。
同窓会の会費は1万円が相場である。
かといって、フカヒレや北京ダックはテーブルに並ばない。
会費が高いのは、パーティ費用だけでなく同窓会運営費にも充当されるからだ。
年間を通して、幹事たちが飲み食いしながら計画を練る。
告知をするためにフェースブック、ウェブページといろいろな手間暇がかかる。
人が動けば、そこにお金が必要だ。
そして、同窓会には二次会がつきもの。
さらに往復の交通費。
たまにしか着ないいかしたスーツを羽織ればクリーニング代。
交際費に限りがある暮らしでは、同窓会の出費は無理なのだ。
そういう高い予算をかけて集う人たちは、中流の成功者たちだ。
明日の暮らしを憂えて、カップ麺を買い置きしているような人たちではない。
名刺を交換すれば、有名な企業名に加えて「部長」や「次長」といった肩書き。
それって何の会社?
とでも言われた日には、一生懸命、無名だけどこんなに日本を支えているんだと力説しなければならない。
想像しただけで面倒だ。
「つきあいが悪い」などと簡単に言うヤツには言わせておいて、一向に構わない。
そう思うから、あの人は今年も同窓会には出てこないのである。
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