マルベル堂で僕らがいっせいに探した「さ」で始まるアイドル
5月のある土曜日。
水上バスに乗って下町に繰り出している。
2010年に屋根がチタンに葺き替えられて以来、浅草寺に来るのは初めてだが、そのことはすっかり忘れていた。
雷門を抜けると、仲見世は大混雑。
あぁこれはパスだね。
平日は会社に向かうサラリーマンの大渋滞に辟易している東京人。
週末は人が居ないところが恋しい。
そこで、一本裏にはいると驚いた。
なんと、そこはシャッター街だ。
シャッターは地面に達しておらず、人が出入りする用途ではない。
形状は、町のたばこ屋店頭を連想させる。
郷里の佐世保・四ケ町だって、こんなにシャッターが閉まっている光景はない。
もちろん、全国から観光客が押し寄せているこんな日に、一斉に店が閉まっている訳がないことは容易にわかる。
隔日で、奇数日はこっち側の店が開くのかな?
いや、この裏は仲見世だから、お店のなにかだよ。
この商店街を設計した人が、共通でなにかをつくったわけだよね。
なんだろう?
ということで、N氏が客の入りがちょうど途切れている店に目をつけてリサーチ。
あぁ、あれは倉庫だよ。
だって、シャッターしめておかないと不用心だろ?
こちとら、裏までいちいち見てらんないからさ。
N氏が食い下がったものの、回答はどこまでいってもピントがずれていた。
倉庫だというのはわかったのだが、なぜあのカタチなのか・・
そのカタチにいわれはないのか。
それはいつか、僕らよりもこの町にこだわりのある探求家が解き明かしてくれるだろう。
お昼ご飯は食べていない。
あちこちで少しずつ買い食いして回るプランだ。
物産展の試食わかめ
人が並んでいたメンチカツ
どれもいま一つ、ぐっと来ない。
そこに現れたのが芋ようかんの老舗「舟和」ふなわ
芋ようかんソフトクリームだ。
はじめの一口、舌に残るほのかな芋ようかん風味。
斜めに刺さっている薄い芋ようかん。
これこれ!
皆が笑顔になる。
ところが舌が、いや脳が味を学習してしまうと、2口め以降は何を食べているかわからなくなった。
底の方は芋を濃くしてほしいね。
ベンダーの構造上それは、無理でしょ。
だったら、芋ようかんは刺さずに刻んで底に入れたらどうだろ?
手間がかかるからね~
ミュージシャンだって、スタジオでがんばっていいCD出せばよかった時代は終わっている。
ライブパフォーマンスを磨いて、存在感を維持しなければ生き残れないんだ。
いろいろなことを引き合いに出して、消費者は企業側にいっそうの努力を求めるのだった。
いいじゃん、消費者なんだから。
マルベル堂ではしばし、はまり込む。
ブロマイド?
ぷろまいど?
Bromideだからブロマイドでしょ。
松田聖子、城みちる、フォーリーブス
ジョンレノンではありません・・・
つっこみどころ満載の店内
互いが幼少の逸話を開陳する。
そこは、大人になった僕ら。
なにか一枚買いたいよね・・
そこは皆の意見が一致。
いっせいに50音で並んだ"その他在庫"の「さ」を探す。
佐野・・周二しかないね。
関口宏のお父さんでしょ、司会者の。
関口知宏のおじいさんということになるね。
そんな若者がいるのか・・
地図のない旅も、そろそろお開きが近づいている。
人生には喫茶店が必要だ。
散歩には小休止が必要だ。
マウンテンという名前に惹かれるよね。
そうだねとN氏
最近はカフェばかりになって、こういう純喫茶が減ったよね。
必ずしも純喫茶がいいとは限らないが、店主を軸とする地域のたまり場として、必要であることはまちがいない。
アイスコーヒーを相棒に、互いの近況を交換した僕たちは、水上バスに乗って下町に繰り出し、電車で帰路についた。
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