スコラーリ、チェルシー、波に呑まれ始めるデコ
2008年6月15日 20:45(日本時間 16日 3:45)
ユーロ2008 グループリーグA組 第3戦
○スイス1-0ポルトガル
ポルトガルはグループ1位通過が確定している。
こうなれば、ベストメンバーを組む必要はない。
スコラーリ監督は、リカルド(GK)、ペペ(DF)、フェレイラ(DF)の3人以外を休ませた。
後半25分、ジョアン・モウチーニョを入れて試合を取りに行く。
その直後、ポルトガルの体制が整わぬところ、オフサイドラインを破られ、ハカン・ヤキンが先制ゴール。
前試合から続いていることだが、ポルトガル選手がやたらと警告を受ける割に、相手チームには警告が出ない。
後半39分には、苛立つ選手たちにスコラーリが「審判に抗議するな」と指示を出す。
1位通過が決まっていたポルトガルが、敗退の決まっていた共催国の1つスイスに、ユーロ初勝利をプレゼントした結果となった。
グループリーグ第3戦は、敗退行為を防ぐために同時刻にキックオフ。
敗退行為とは、負けることが自らの利益につながる状況で、負ける意図をもって戦うこと。
サッカーにおいては、トーナメントで組合せを有利にするために、わざとグループ2位通過を狙うことを指す。
ユーロはWOWOWが全試合放送する。
2つのチャンネルを使って同時に2試合を生中継している。
試合終了後の日本のスタジオ
「同時開催のトルコ-チェコ戦の結果が出ます。ご注意ください」
にはうけた。
6月19日 20:45(日本時間 20日 3:45)
ポルトガル 対 ドイツ
ドイツがグループ2位となったため、ポルトガルは苦手ドイツとベスト8で当たる羽目になった。
2006W杯では3位決定戦で当たり、シュバインシュタイガーの3ゴールで惨敗している。
ただでさえ、悪い予感漂うところに、さらに追い打ちのバッド・ニュース。
ベスト8戦の前日、チェルシーがスコラーリ監督との契約を発表してしまった。
国別の重要な試合の最中に、監督が就活をしていたことがばれてしまう。
ただでさえ、まとまりのないチームの士気がこれで、さらに低下してしまった。
試合はバラックがファウルをしながら挙げた決勝点を審判が見過ごし、ドイツが3-2で勝利。
ここまで、ユーロは4大会連続出場のポルトガル。
過去4回の成績は ベスト8 →ベスト4 →準優勝 →ベスト8
デコが代表で挙げた最高成績は、デビュー大会であるユーロ2004の準優勝となった。
■ユーロ2008全試合結果
【 グループリーグ 1節 】
----- 6/7<土> A組 ---------------
スイス 0-1 チェコ
共催国の一つスイスで開幕。スイスの1トップFWフレイが負傷退場。
ポルトガル 2-0 トルコ
----- 6/8(日) B組 ---------------
オーストリア0-1クロアチア 0-1
クロアチアの得点は今大会初のPK
ドイツ 2-0 ポーランド
ポーランドはユーロ初出場。
----- 6/9<月> C組 ---------------
ルーマニア 0-0 フランス
オランダ 3-0 イタリア
----- 6/10<火> D組 ---------------
スペイン 4-1 ロシア
ギリシア 0-2 スウェーデン
【 グループリーグ 2節 】
----- 6/11<水> A組 ---------------
チェコ 1-3 ポルトガル
ポルトガルのベスト8進出が確定。
スイス 1-2 トルコ
ロスタイムにアルダが決勝点。奇跡のトルコがここから始まる。この結果、ポルトガルの1位通過が確定。スイスが勝っていればまだ1位は決まらなかった。共催の開催地スイスは最初の敗退決定国となった。
----- 6/12<木> B組 ---------------
クロアチア 2-1 ドイツ
シュバインシュタイガーが大会初のレッドカードで退場。
オーストリア 1-1 ポーランド
この試合の結果、クロアチアの1位通過が決まった。
----- 6/13<金> C組 ---------------
イタリア 1-1 ルーマニア
オランダ 4-1 フランス
オランダの1位通過が決まった。
----- 6/14<土> D組 ---------------
スウェーデン 1-2 スペイン
スペインの1位通過が決まった。
ギリシア 0-1 ロシア
前回優勝国ギリシアの敗退が決まる。
【 グループリーグ 3節 】
----- 6/15(日) A組 ---------------
トルコ 3-2 チェコ
2位通過を賭けた直接対決。奇跡のトルコ!後半41分、43分に得点して逆転。
スイス 2-0 ポルトガル
スイスはユーロ初勝利。
----- 6/16<月> B組 ---------------
オーストリア 0-1 ドイツ
ドイツが2位通過を決めた。
ポーランド 0-1 クロアチア
----- 6/17<火> C組 ---------------
フランス 0-2 イタリア
フランス敗退。ルーマニアが敗れたため、イタリアの2位通過が決まる。
オランダ 2-0 ルーマニア
ルーマニアが勝てば2位通過だった。オランダはメンバーは落としていたが、敗退行為はしなかった。
----- 6/18<水> D組 ---------------
ギリシア 1-2 スペイン
スペインはベテランのシャビ、プジョルを休ませたが、さほどメンバーを落とさなかった。
ロシア 2-0 スウェーデン
2位通過を賭けた直接対決。
【 準々決勝 ベスト8 】
----- 6/19<木> マッチ25 A組1位-B組2位 ---------------
ポルトガル 2-3 ドイツ
----- 6/20<金> マッチ26 B組1位-A組2位 ---------------
クロアチア 1(PK1-3)1 トルコ
延長後半14分、腎臓移植から復帰したクラスニッチのゴールでクロアチアが先制。ドラマは完結したに見えたが、終了と同時ラストプレーでトルコが追いつく。PK戦一番手のモドリッチが外した。
----- 6/21<土> マッチ27 C組1位-D組2位 ---------------
オランダ 1(延長0-2)1 ロシア
延長に入り休養十分のオランダの足が止まったが、中2日のロシア選手の運動量は落ちなかった。ここまで3試合はいずれも、グループ2位チームが1位チームに勝った。
----- 6/22(日) マッチ28 D組1位-C組2位 ---------------
スペイン 0(PK4-2)0 イタリア
120分戦って0-0。準々決勝4試合中、この試合だけグループリーグ1位のチームが勝った。唯一C組だけ、どこもベスト4に残らなかった。
【 準決勝 】
----- 6/25<水> マッチ29 25勝者-26勝者 ---------------
ドイツ3-2トルコ
ドイツは中5日、トルコは中4日の休養。
奇跡のチーム、トルコはまたも終盤に追いつき、実況アナウンサーに「トルコタイム」と言わしめたが、最後にドイツに決勝点を許した。
----- 6/26<木> マッチ30 27勝者-28勝者 ---------------
ロシア0-3スペイン
ロシアは中4日、スペインは中3日の休養。スペインは5試合めで初めて芥子色ユニフォームを着る。2月の親善試合では、このユニフォームを着てフランスに勝っている。
準々決勝で一躍名を上げたアンドリー・アルシャビンは、テレビで見る限り、出場しているのかさえわからなかった。
【 決勝 】
----- 6/29(日) マッチ31 29勝者-30勝者 ---------------
ドイツ 0-1 スペイン
スペインが第2回大会のユーロ1964以来、2度めの優勝。
試合後、日本のスタジオにいた解説の奥寺さんが意気消沈しているように見えた。
バラックは5月のUEFA CLに続いて決勝で敗退。同一シーズンにクラブと代表の決勝で連敗したのは、2006年のCL、W杯のアンリと同様である。
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