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2013年12月21日 (土)

壁に壁画を描く季節

今年も壁画を描く季節がきた。
僕は大掃除の度に壁画を描く。

汚れた壁にマイペットでなぞると絵になるのだ。
はじめの年はアンパンマンを描いた。
UFOキャッチャーにはまっていた頃だ

「よし、おまえは300円以内でとってみせる」

そう言ってはアンパンマンの顔をガン見しまくったせいで、顔のパーツはすべて暗記している。

しかし、この絵は納得いかない。
アンパンマンの本則は外していないが、我ながら上手とは言えぬ出來だ。
それでも、掃除の手を休めた同僚がうまいうまいと言ってくれた。
それは、誰もがアンパンマンの顔を知っているからだ。

また一年が過ぎて、今度は仮面ライダーとウルトラマンを描いた。
子供の頃、手製の漫画誌を作って友だちと交換していたので、仮面ライダーとウルトラマンと堺正章は書ける。
特にウルトラマンの横顔には自信がある。

堺正章は「時間ですよ」で人気絶頂の頃、歯磨き粉を買うとマチャアキの砂時計が付いていた。
母にねだり手に入れた、マチャアキの砂時計。
その外箱に記されていたイラストを見ながら、何度も練習したのだ。

でも堺正章は壁には描かなかった。
きっと、もう誰もわからないからだ。
ロングヘアーで「エレクトリックおばあちゃん」を歌っていた頬のこけたマチャアキの顔は、とてもタテに細長かったのである。

そしてまた一年が過ぎた。
その年はキースヘリングのbabyを書いた。

それはそれは、精巧な絵だった。
誰もがその絵を見て、ほーっとうなっていた。

種を明かすと、原画をA4にプリント。
エッジになる部分をくり貫いて型紙をつくる。
その上を雑巾でなぞったのだ。

出来は立派だったが、誰もうまいとは言ってくれなかった。
それがキース・ヘリングだと知らなかったからだ。

南青山にポップショップトーキョー があった頃、名古屋からしょっちゅう通った。
インターネットができてすぐ、NYのポップショップからTシャツを取り寄せた。
これが、インターネットで初めての買い物だった。
本当にニューヨークの店(当然、英語)に注文したので、船便で1か月ほどかかったが、本当に届いた時は感動した。

こないだ友達がNYに行ったので、なにか買ってきてと頼んでおいたのに行ってきてくれなかった。

南青山のポップショップで78,000円の西陣織の仁兵衛が「70人希望者が集まったら制作する」として展示されていた。
あれは作られたのだろうか?

いつもは、壁画を描きながら昔を懐かしむ。

だが今年は、現代のアイドルくまモンを描きたい。
きっと、誰もが知っているから、少々出來が悪くても笑ってくれるはずだ。

「まゆのなかモン」
と言われぬよう、まゆだけは忘れずに書こうと思っている。

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