壁に壁画を描く季節
今年も壁画を描く季節がきた。
僕は大掃除の度に壁画を描く。
汚れた壁にマイペットでなぞると絵になるのだ。
はじめの年はアンパンマンを描いた。
UFOキャッチャーにはまっていた頃だ
「よし、おまえは300円以内でとってみせる」
そう言ってはアンパンマンの顔をガン見しまくったせいで、顔のパーツはすべて暗記している。
しかし、この絵は納得いかない。
アンパンマンの本則は外していないが、我ながら上手とは言えぬ出來だ。
それでも、掃除の手を休めた同僚がうまいうまいと言ってくれた。
それは、誰もがアンパンマンの顔を知っているからだ。
また一年が過ぎて、今度は仮面ライダーとウルトラマンを描いた。
子供の頃、手製の漫画誌を作って友だちと交換していたので、仮面ライダーとウルトラマンと堺正章は書ける。
特にウルトラマンの横顔には自信がある。
堺正章は「時間ですよ」で人気絶頂の頃、歯磨き粉を買うとマチャアキの砂時計が付いていた。
母にねだり手に入れた、マチャアキの砂時計。
その外箱に記されていたイラストを見ながら、何度も練習したのだ。
でも堺正章は壁には描かなかった。
きっと、もう誰もわからないからだ。
ロングヘアーで「エレクトリックおばあちゃん」を歌っていた頬のこけたマチャアキの顔は、とてもタテに細長かったのである。
そしてまた一年が過ぎた。
その年はキースヘリングのbabyを書いた。
それはそれは、精巧な絵だった。
誰もがその絵を見て、ほーっとうなっていた。
種を明かすと、原画をA4にプリント。
エッジになる部分をくり貫いて型紙をつくる。
その上を雑巾でなぞったのだ。
出来は立派だったが、誰もうまいとは言ってくれなかった。
それがキース・ヘリングだと知らなかったからだ。
南青山にポップショップトーキョー があった頃、名古屋からしょっちゅう通った。
インターネットができてすぐ、NYのポップショップからTシャツを取り寄せた。
これが、インターネットで初めての買い物だった。
本当にニューヨークの店(当然、英語)に注文したので、船便で1か月ほどかかったが、本当に届いた時は感動した。
こないだ友達がNYに行ったので、なにか買ってきてと頼んでおいたのに行ってきてくれなかった。
南青山のポップショップで78,000円の西陣織の仁兵衛が「70人希望者が集まったら制作する」として展示されていた。
あれは作られたのだろうか?
いつもは、壁画を描きながら昔を懐かしむ。
だが今年は、現代のアイドルくまモンを描きたい。
きっと、誰もが知っているから、少々出來が悪くても笑ってくれるはずだ。
「まゆのなかモン」
と言われぬよう、まゆだけは忘れずに書こうと思っている。
| 固定リンク | 0
「くらし」カテゴリの記事
- 夜中のピンポンは雷さんのピンポンダッシュ 電源タップの選び方(2024.09.08)
- 長崎を最後の被爆地に(2024.08.11)
- 原爆炸裂から79年 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典(2024.08.10)
- いち早くマイナカードを作った人たちが最初の更新時期を迎えている(2024.08.03)
- 男性の日傘元年 男の日傘デビュー 男の日傘の選び方(2024.07.29)