なくしたモノはどこから出てくるのか?
毎日、コンタクトレンズを使っていた頃、何度か落としたことがある。
平和台球場でアルバイトをしていた日のことだ。
右目が痛かったので、洗面所で1度レンズを外して洗い、再び付けようとした時。
レンズが指のひらから滑り落ちたのがわかった。
まずい、ただでさえお金がないというのに
(だから、アルバイトにきているのだ)
ここでレンズをなくすわけにはいかない。
まず、慎重に一歩さがって
じゃり
え゛
右足を上げたところに粉々に砕けたレンズが散乱していた。
それ以来、レンズを落とした時は、その場を一歩も動かないことにした。
それから半年後、年の瀬も押し迫り、バイクで里帰りしていた日のことだ。
故郷まであと少しとなったパーキングエリアで、缶コーヒーを飲んでいた時。
目に違和感を感じてまばたきをすると、右の視界がぼやけるのがわかった。
まずい、コンタクトレンズが落ちた。
しかも、辺りは真っ暗だ。
その時、一歩も動かず、周りに助けを求めたところ、休憩していたライダーやドライバーが5~6人ほどで
「動かんで、立っとってよ」
と言って探してくれた。
もうそれだけで嬉しかった。
仕方ない。諦めようと思ったその時だ。
1人の女性が叫ぶ。
あ、そこ光ってる!
左足の斜め、すぐ前に原形をとどめたレンズがあった。
寒空の元、時間を割いてくれた皆さんに
「ありがとうございました。よかったら缶コーヒーでものんでってください」
と声をかけたが、水が引くように各々の愛車に吸い込まれて、去って行った。
「よかったね」と笑顔のこだまを残し。
それから数十年が経った。
もう、たまにしかコンタクトレンズをつけなくなった現代。
友達とギョーザを食べに行った日から、コンタクトレンズが見つからない。
落としたのではなく、ケースごと無い。
だいたい失くしたモノというのは、いつもどこから出てくるのだろうか。
恐らく、それは立ち回り先だ。
そう誰もが考えるだろう。
時系列で、その遺失物が最後にあった時と場所を思い出し、そこからタイムマシンに乗って現代へ記憶をたどる。
だが、こうした試みではなかなか見つからない。
誰か超能力で「あそこにあるよ」と教えて欲しい。
だが、そういう特殊能力者の知人は居ないし、自ら探り当てる千里眼も持ち合わせていない。
2週間ぶりにコンタクトレンズがみつかった。
履いていたスェットのポケットから。
あれ、なんか入ってるな。まさかね・・
と思ったら出てきた。
ギョーザを食べた夜、なにかの拍子にポケットに入れて、洗濯して、タンスで眠った。
そのスェットを履いたらでてきたというわけだ。
探し物をするときは全ての服のポケット。
これは基本ですね。
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