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2014年2月13日 (木)

いつかは何かやらかすんじゃないかと思っていました。

「いつかは何かやらかすと思っていました。」(男子クラスメート)
「成績は中の上、生活態度は真面目でした。」(担任)
**日、地方都市の高校で起きた痛ましい事故は悲しい結末を迎えた。

天高く放たれた矢が地面に落下するまでの時間は、永遠のように感じられた。
時間にしてわずか数秒のこの時間、さまざまな報道、非難、後悔が脳裏をよぎる。
なんということをしてしまったのか、これで人生の一定部分は損なわれたのだと考えていた。

5分前
その日、必修クラブが終わったサトウと、その仲間はふと空に向かって矢を放ってみたくなった。
必修クラブとは、水曜日の6時限を使って行われる必修のクラブ活動。
大半のクラブは、本物のクラブと同じテーマ。
生徒は好みでどれか1つを選び、一定期間は毎週1回そのクラブに通う。

大半のクラブは、本物のクラブ活動員がその指導に当たる。
特に弓道のような特殊なものは、例年、弓道部から3人が借り出されていた。

高校生と言えば16歳から18歳。
高梨沙羅のようにしっかりした考え方の17歳もいるが、まだまだ子ども。
ある者は軽率であり、あるものは思慮不足。
そして、あるものはお調子者だ。

必修クラブの終わりを告げるチャイムが鳴り、必修クラブ員が引き揚げた弓道場。
本物のクラブ員の3人は、そのまま教室には戻らず、クラブ活動に移るのが常だった。

上に打ったらどげんなるかいな。

思慮不足のスズキはそう言うが早いか、15kgの弓に矢をつがえたかと思うと、矢の先端を空に向けた。
まさか、本気じゃないだろう?
と見守る2人。
しかし、スズキは予想を裏切る。
弓を軽く引いたかと思うと、本当に空に向けて構えてゆがけを離した。

おいおい
目を向いて空を見上げる。
だが、わずかな引き幅で放たれた矢は5mほどで下降に移る。

あぶねっ
矢はとなりにいたヤマダから5mほどのところに落ちてきて、矢道に刺さる。
ヤマダは大げさによけた。

よし次は僕の番だ。
サトウは成績はまずまずで真面目な性格だと思われていた。
だが、一年に一度の割合で、なんでそうなるの?というような度が過ぎるいたずらをするような人間でもあった。
スズキの試みが、思ったよりは無難な結果になった時点で、サトウの想像力が途切れたのだろう。

サトウは矢立てに立っていた自らのジュラルミン製の4本の矢から、最も羽根の状態が悪い1本を抜くと、つっかけを履いて、射場から矢道へと降り立った。

つづく

*本編はフィクションです

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