2006年夏、ハウステンボス、とっとっとでトルコライス
2006年8月、台風10号が接近しているなか僕らは長崎ハウステンボスにいた。
それは特別なことではなく、ハウステンボスがオープンした翌年より、年に1度は行っているのだ。
晴れ男だから台風がそれて快晴になるだろう
と読んでいたがそうはいかなくて、ビニル傘が1本壊れて骨だけになった。
何より痛かったのは、夜の花火が中止になったことだ。
これで2年連続で花火中止に当たってしまった。
ハウステンボスの楽しみは、なんと言っても帰り際の花火だからだ。
夕食はその年にオープンしていた「とっとっと」という洋食店へ。
九州では「この席は(誰かの分を)取っているのですか?」を「とっとっと?」と言う。
という話を聞いたことがあるかも知れない。
実際、博多に住んでいる時、そのようなフレーズを耳にしたことが1度ある。
二限が終わって、学食で一番安いカレーを食べている僕。
そこにトルコライスを持ったY子がやってきた。
南筑在住の彼女「ここ、とっとーと?」
僕はとなりの席に置いていたヘルメットをどけて、トルコライスの置き場所をつくった。
博多では「とーと?」と伸ばす。
長崎、佐世保では「とっと?」と伸ばさない。
従って「とっとっと」という発音で会話しているのは聞いたことがない。
ということを思い出したわけではないが「とっとっと」ではトルコライスを注文した。
トルコライスと言えば、昭和30年頃、長崎市内の喫茶店メニューに載り始めたと紹介されている。
「ツル茶ん」がその歴史が古い店として有名だ。
長崎と佐世保は距離がある、それは物理的にも精神面でも。
だが当時のハウステンボスと言えば青息吐息の頃。
ハウステンボスは佐世保にあるが、
ここは長崎の名物でもいいから、メニューに取り入れたらいいのにと言っていたのだ。
「4種類のトルコライスから選べます」
え゛そうなの?
そういえば、ツル茶んで食べた時も、確か選べたな。
トルコライスと言えば「とんかつ」「ナポリタン」「炒飯」の3つ巴と思っているので、それが「海老フライ」だとか「カレー」だとか「グラタン」だと言われると違和感がある。
そんな文句をウェイターに言っても仕方ないので僕は「チキン南蛮」を選択した。
九州に居た頃、ほっかほっか亭の定番メニューに「チキン南蛮弁当」があり、30回は食べていると思う。
今でもお店のメニューに「チキン南蛮」があると聞くと、訪ねて行って食べるほど好きだ。
ウェイター&ウェイトレスは学生のようだ。
一人だけ緊張感のレベルが高い店長らしき人が全体を取り仕切っている。
接客は可もなく不可もない。
「お水をお注ぎします」
トルコライスを待っていると、学生がやってきた。
ちょっとしか減っていないけど、親切だなぁ・・
「お水をお注ぎします」
チキン南蛮を頬張っていると、別の学生がやってきた。
あれ?そんなに減っていないけど・・親切だなぁ・・
「お湯になります」
いやぁ、外も寒いしって、お湯かよ
しかも夏だし。
テーブルにいた人数分、ガラスコップに注いでしっかり置いていった。
いったい、なぜトルコライスにお湯なのか?
**国では食事の時に人は生まれ変わるという言い伝えがあり、食事をしながらお湯を飲むのは産湯に通じるのです。
・・というような
言い伝えでもあるのかな。
お湯を前にして僕らは混迷の時を迎えた。
つづく
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