前レジどうぞ~ あるコンビニの彼女
それは、吐く息でお湯が沸きそうなくらい暑い朝。
いつものコンビニで缶入りアイスコーヒー1点をレジカウンターに置くと、店員が「袋いれますか?」と聞いた。
袋要らない・・
と客からの言葉を待つまでもなく、これくらいは袋なしでもいいでしょ?という店側の意見だ。
実際、大半の客はそれに同意して、はだかで商品を持っていく。
片手を空けたかったのと、体温でコーヒーがぬくもりそうだったこともあり、袋入れて下さいと頼む。
反エコロジーだが、できれば少しでも冷えたまま運びたい。
その日から、彼女の態度は変わったと思う。
「前レジどうぞ~」
フォーク並びを導入しているこのコンビニは、朝の混雑時には、手際よく客をさばいていく。
支払いを終えた客がまだ財布にお釣りを仕舞っているうちから、彼女は列に並ぶ次の客に声をかける。
「前レジどうぞ~」
列の先頭位置から後ろのレジはすぐだが、前のレジまでは、歩いて3秒かかる。
ロスタイム無しで客をさばきたい。
というのが彼女の狙いだ。
次はあなたの番だから、もう歩き始めて、すかさず商品をここに出して!という
「前レジどうぞ~」である。
彼女の手際よさは心地よい。
声を掛けられても、自分のこととは気づかない客がぼーっと突っ立っていると
「前レジどうぞ~」と、一段強い口調で追い打ちがかかる。
これが暖かい光景か、殺伐としているかいうと後者だ。
だが、コンビニに心のふれあいを求めてくる人は、東京には少ない。
列の後続客はどちらかというと、手際よく客をさばいていく彼女に好意的だ。
数日後、その日も缶コーヒー1つ
袋入れてください!
という前に彼女は、レジ袋を引き抜いていた。
覚えていたんだな・・
クレジットで!と言うと
彼女はコンビニ会員カードを兼ねたカードを2度スキャンして、クレジットカードを返す。
「前レジどうぞ~」
すかさず、次の客に声をかける。
このコンビニのレジはレシートの吐き出しが遅い。
ひとタイミング遅れてレシートが出る。
店を出るために右足に重心を移しながら、クレジット明細でもあるレシートを手渡してくれるのを待つ。
すると彼女は、まだいたのか?と言わんばかりに
「前レジどうぞ~」
と列の方を見たまま、左肘から先だけバックハンドで返してレシートを付きだした。
そういえば、ありがとうとも言われてないな。
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