テング熱 一笑に付される
診療時間 平日9時より
机の引き出しからカード入れを取り出す。
そこには、滅多に使うことのない会員証、診察券などがまとめて置いてある。
その中から最寄り医師の診察券を発掘すると、そこに書かれていた。
最後に行ったのはいつだったろう。
ここ数年は、早めのパブロンで治ってしまう風邪ばかりで、ここまで重症のものはなかった。
そもそも、このようにただ熱だけが出るという症状は風邪と言えるのかもわからない。
15分前に待合室に着くと先客は2人。
だが、順番を書き込む表には既に8人の名前が書き込まれている。
順番をとって一旦帰宅。開診時間にはいって、頃合いをみてからやってくるのだ。
平日の日中、来客はほとんどが高齢者だ。
誰一人、スマホにらめっこをしている人はいない。
病院だから誰もが自粛しているというよりは、ここにいる誰もがガラケーさえ持っているか怪しいという客層だ。
本を読むとエネルギーを消耗するので、目をつぶりじっとして順番を待つ。
病院の待合室は誰もが話す元気がないのか、互いに話すことは禁忌なのか、とても静かなのがありがたい。
薬だけ欲しいんですけど・・・
こういう客が次から次にやってくる。
受付事務員は、あぁいいですよ
と気軽に応えている。
薬品メーカーらしきおじさんが、医療薬の納品にくる。
なにかの集金のおばさんも来る。
町内会の伝達におじさんがくる。
そのうち、ヤクルトのおばちゃんとかも来そうな勢いだ。
70分ほどで自分の順番がきた。
「どうしました~っ?」
仮にこの先生をファースト先生と呼ぶ。
ファースト先生は、スポーツチームの監督あるいは、プライドに出ていたプロレスラーのような愛らしい顔をしていて、親しげに声をかけてきた。
ここまでの推移をメモしてきた紙を読み上げて説明する。
そして最後に、
3日前に外苑に行ってその時蚊に刺されたんですけど
と告げると
「いやぁ、それはないと思うよ~」
と一笑に付された。
それでも、お腹と背中を開けて見て、発疹がないかをチェックしてくれた。
現代はインターネットで検索すると、具体的な症例が載っている。
高熱、筋肉痛は風邪ではよくある症状。
そこで発疹の有無チェックが、あの病気ではないという判断基準になる。
抗生物質
のどの炎症を停める薬
解熱剤
3種類が処方された。
処方箋薬局でOS-1を2本買って帰る。
この時点で長期戦を覚悟していたわけではなく、1本は買い置きという考えだった。
つづく
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