« 1984年、春、沖縄 ジャッキーのビフテキ | トップページ | 毎日牛肉を食べて健康になった »

2014年11月17日 (月)

ビフテキという揶揄と自嘲 ある日、牛を食べることにした理由

今日からは牛肉を食べよう。
唐突にそういうことになった。
と言っても、決心するからにはきっかけがある。

ある秋の日、図書館で時間をもてあましていた。
自分にとって、読書は年中行事につき、読書の秋というわけではない。
次の予定が、相手の都合により1時間遅れとなり、ぽっかり時間が空いた。
その場所が図書館ならば、時間を潰すことは苦にならない。

棚を巡り始める。
そんな時、いつも問いかける言葉がある。

♪ぽーん

と「プロフェッショナル」ならば、ピアノがうたれるところだが

「今、自分は何に興味があったか?」
である。

今、興味があることについて、参考書となる本が読みたい。
雑誌やwebのわずかな情報ではなく、200ページからなる一冊の本。
そこにかけている時間は膨大なもの。

筆者が取材をして、熟考を経て執筆。さらに推敲を重ねる。
編集者が事実、社会通念に照らして齟齬、ほころびがないかをしらべる。
そして校正が行われて、ようやく印刷所に回る。

彼らの収入は読者の財布から出る。
広告収入に頼らないため、特定の団体に偏ることもなく、自由な立場が貫かれる。
その情報の確からしさは、ほかの媒体に較べて群を抜いている。

その日は特別なテーマ、たとえば「すき焼き」であるとか「年金」と言った言葉は思い浮かばなかった。
そんな時は、棚を流し、コレクターで鍛えた「棚動体視力」を駆使して、今の自分にとって心に響くタイトルを引き当てる。

哲学・心理学の棚に足が向いた。
暮らしの行く先に迷いがある場合、足はたいていこの分類がある棚へ向かう。

「人生がつらくなったときに読む本」
よし、これを待ち合わせ時間まで読んで帰ろう。

正式な書名は「斎藤一人人生がつらくなったときに読む本-暗闇から抜けだす北極星を見つけた!-
著者:柴崎 博文
版元:KKロングセラーズ

約束の時間が近づいて、再び棚に戻そうとした時
「牛肉を食べるといい」
という言葉が引っかかっていた。
結局、この本は後日手に入れてCDも繰り返し聴いた。

なぜ、牛肉がいいのか?
それはこの本で読んで頂きたい。
キンドル版も出ている。新書にはCDが2枚付いている。

さて毎日、牛肉を食べようと決めた。
思い立ったが吉日。
その日は待ち合わせた相手をデニーズに連れて行ってビフテキを食べた。

今時「ビフテキ」と表現するのは年長者。
若い人は使わない。
ビフテキは、高嶺の花。高収入。贅沢の象徴なのだ。
従って「あいつらビフテキばっかり食ってやがる」というように、揶揄する際にも使われる。
食べている自らが言う場合「牛になんてこだわって・・」という自嘲が含まれる。
子どもの頃は食べられなかったけどねという意味合いも入る。
そうなると、コレクター界の「大人買い」に近い。

つづく

| |

« 1984年、春、沖縄 ジャッキーのビフテキ | トップページ | 毎日牛肉を食べて健康になった »

たべもの」カテゴリの記事