ビフテキという揶揄と自嘲 ある日、牛を食べることにした理由
今日からは牛肉を食べよう。
唐突にそういうことになった。
と言っても、決心するからにはきっかけがある。
ある秋の日、図書館で時間をもてあましていた。
自分にとって、読書は年中行事につき、読書の秋というわけではない。
次の予定が、相手の都合により1時間遅れとなり、ぽっかり時間が空いた。
その場所が図書館ならば、時間を潰すことは苦にならない。
棚を巡り始める。
そんな時、いつも問いかける言葉がある。
♪ぽーん
と「プロフェッショナル」ならば、ピアノがうたれるところだが
「今、自分は何に興味があったか?」
である。
今、興味があることについて、参考書となる本が読みたい。
雑誌やwebのわずかな情報ではなく、200ページからなる一冊の本。
そこにかけている時間は膨大なもの。
筆者が取材をして、熟考を経て執筆。さらに推敲を重ねる。
編集者が事実、社会通念に照らして齟齬、ほころびがないかをしらべる。
そして校正が行われて、ようやく印刷所に回る。
彼らの収入は読者の財布から出る。
広告収入に頼らないため、特定の団体に偏ることもなく、自由な立場が貫かれる。
その情報の確からしさは、ほかの媒体に較べて群を抜いている。
その日は特別なテーマ、たとえば「すき焼き」であるとか「年金」と言った言葉は思い浮かばなかった。
そんな時は、棚を流し、コレクターで鍛えた「棚動体視力」を駆使して、今の自分にとって心に響くタイトルを引き当てる。
哲学・心理学の棚に足が向いた。
暮らしの行く先に迷いがある場合、足はたいていこの分類がある棚へ向かう。
「人生がつらくなったときに読む本」
よし、これを待ち合わせ時間まで読んで帰ろう。
正式な書名は「斎藤一人人生がつらくなったときに読む本-暗闇から抜けだす北極星を見つけた!-」
著者:柴崎 博文
版元:KKロングセラーズ
約束の時間が近づいて、再び棚に戻そうとした時
「牛肉を食べるといい」
という言葉が引っかかっていた。
結局、この本は後日手に入れてCDも繰り返し聴いた。
なぜ、牛肉がいいのか?
それはこの本で読んで頂きたい。
キンドル版も出ている。新書にはCDが2枚付いている。
さて毎日、牛肉を食べようと決めた。
思い立ったが吉日。
その日は待ち合わせた相手をデニーズに連れて行ってビフテキを食べた。
今時「ビフテキ」と表現するのは年長者。
若い人は使わない。
ビフテキは、高嶺の花。高収入。贅沢の象徴なのだ。
従って「あいつらビフテキばっかり食ってやがる」というように、揶揄する際にも使われる。
食べている自らが言う場合「牛になんてこだわって・・」という自嘲が含まれる。
子どもの頃は食べられなかったけどねという意味合いも入る。
そうなると、コレクター界の「大人買い」に近い。
つづく
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