安定多数と絶対安定多数の違い 2014年12月総選挙の場合
12月14日、衆議院としては初めてのネット選挙となる第47回総選挙が行われる。
今回の選挙は、大きな変更点が1つある。
「0増5減」
一票の格差を是正するために、5議席が減らされ衆議院定数が475になった。
衆議院定数の推移
2000年6月の総選挙から、512人から480人に減った。
2014年12月の総選挙から、480人が475人に減った。
従って30歳以上の大半は高校の「政経」で
「衆議院の定数は512人」
と暗記したことになる。
5減の5は福井、山梨、徳島、高知、佐賀の小選挙区。
それぞれ、定数が3→2に減らされた。
定数が475人になったことで、過半数は238。
過半数を得た会派が、政権を獲得する。
「会派」は聞き慣れない人が多い言葉。
同じ考えを共有する人たちで組織するグループで、議会に届け出る単位。
一般には第一党が単独で会派を構成する。
ただし「連立」があった場合、二つ以上の政党で1つの会派を構成することになる。
その逆に政党内でいざこざがあり、同じ政党で2つの会派に分かれることもある。
選挙は本来、過半数を争うもの。
過去2回は続けて、政権交代が起きており、
まさにその「過半数」を巡る戦いだった。
そして、過去2回いずれも、ある政党の一人勝ちとなったため、結果としてついてきた数値が
「安定多数」「絶対安定多数」である。
安定多数とは
政権与党が各院において、すべての常任委員会で委員長を出し、なおかつすべての委員会で半数以上を占めることができる議席数。
議決が可否同数となった場合、議長が採決に加わり議決できる。
絶対安定多数とは
すべての委員会で過半数(同数ではなく半数より多い)を超え、採決に委員長が加わることなく議決できる議席数。
従って、安定多数と絶対安定多数の違いとは
委員会において、与野党で議決同数になるか、ならないか。
安定多数は、与党議長が議決に加わって可決。
絶対安定多数は、与党委員が過半数なので、与党議長が議決に加わるまでもなく可決できる。
本来、国民が付託しているわけだから、絶対安定多数をもつ与党は、次々に法案を通せるはず。
だが、日本の政治では、それをしない。
絶対安定多数をもつ与党でも、審議を進める前に野党と事前協議をおこなっている。
それをしないと、ある野党はそれを
「強行採決」と言い
「憲政史上希に見る暴挙」と言う。
もし、この言葉を口にする議員がいたら、国民を根っから馬鹿にしている人だ。
国民が付託して政権与党が多数を占めているのだから、その議席で法案を通すのは「強行」でも「暴挙」でもない。
それが議会制民主主義。
それを「強行」「暴挙」という人は、そもそも国民が選挙で与党を推したのがおかしい!
と言っているのである。
そして、そう言っていることを国民が気づかないと考えている。
心の底から国民を舐めている。
だが、本人たちにはその自覚がない。
2014年12月の総選挙では、
安定多数:249議席
絶対安定多数:266議席
攻防ラインは過半数の238であり、安定多数の249である。
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