棚動体視力をもつオタクの礼儀正しさ
「打撃の神様」川上哲治(故人)は現役当時
「ボールが止まって見える」と言った。
その卓越した動体視力の為せる業だ。
松岡圭祐の小説「千里眼」シリーズの主人公岬美由紀は、戦闘機で鍛えた動体視力を活かして、表情筋の細かい動きを読み取り、心理を言い当てる。
世間では認知されていないが、日本が誇る「オタク」も似たような能力を持っている。
それが「棚動体視力」
「動体視力」は動いているものをコマで止めて見る能力。
この場合、棚は動いていないが、自分の目線が高速で動いており、通常の人ならば対象を捉えづらい。
オタクは、コレクターショップの膨大な商品の中から、瞬時にお目当ての商品を探し当てる。
それは、パソコンで[Ctrl]+[F]を押下してキーワードを入力。
つづいて[Enter]キーを押下すると、瞬時にお目当てのキーワードを探し当てるのに似ている。
棚動体視力は
陳列棚から高速でお目当てのものだけを探し出す視力。
コレクターショップに入る
自分が集めているのは「仮面ライダー旧1号」
それ以外に「旧2号」「新1号」「新2号」「V3」にも興味はある。
だが、対象を広げることはできない。
なぜならば、コレクターはコンプリを目指してしまうからだ。
コレクター予算には限りがある。
生きていれば、食費がかかる。
牛肉も食べたい。
シャンプーや石けんも買うし、車にはガソリンも入れなければならない。
そんな中で、心を癒すための趣味に使える予算は決まってくる。
その限られた予算では「旧2号」「新1号」「新2号」「V3」と手を広げられない。
従って捜索対象は「旧1号」に絞る。
1列ごとヨコに棚をなめて、1列が終わると上下の棚へ移り、またヨコになめる。
1棹が終わったら、次の棹へ移動して、同様に繰り返す。
探しているモノに近いモノがあると、そこで目が止まる。
興味・関心があるテーマに触れる書名があると、そこで目が止まる。
オタクの「棚動体視力」のすごさはこれだけではない。
棚を流している間も、周囲への配慮を怠らない。
いわゆる「後ろに目がある」状態だ。
オタクはとても礼儀正しい。
コレクターショップでは、すれ違いざま互いにさっと体と荷物を引き、接触を避ける。
自分が向かっていく方向からご同輩が流れて来た場合、どのタイミングで譲って、体を入れ替えるかというタイミングも計っている。
そして、すれ違いざまには、道を譲って待つ。
互いが道を譲るため、
「どうぞ」
「いや、そちらこそどうぞ」
「いやいや、そちらこそ」
というやりとりが延々と続き、譲り合い渋滞が起きる。
出発点は臆病な正確にあるのかも知れない。
あるいは、他人との接点を消しているということかも知れない。
だが結果的に、その行為は礼儀正しさに満ちている。
それは、いいことだろう。
海洋堂社長宮脇修一は著書にこう記している。
(以下引用)
オタクはモラリスト。マイノリティを自覚しているので、世間に迷惑かけることはしない。ルール、マナーを守る。
(引用おわり)
外国からアキバに遊びにきたオタク外国人たちは、礼儀正しい日本のオタクと接して、とても安心感を持つことだろう。
オタクが礼儀正しいことを
「日本人は礼儀正しい」と勘違いするかも知れない。
東京五輪の折には、TCATをアキバに作り、外国人をアキバに引き込む導線をつくるとよい。
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