みつかってしまったフォームポジットボルト
ひと安心
AIR FOAMPOSITE PRO VOLTは、やはり見つからない。
ナイキショップは最も早く売り始める。
確実に手にしたいファンはここへやってくる。
自称「並行輸入店」の人達も恐らくやってくる。
ここで23,760円で仕入れて、50,000円で売ればかなりの利ざやが抜ける。
発売日は12月24日だったので、既に1ヶ月が過ぎている。
1995年~1997年前半、ナイキブームの頃ならば開店後30分で売り切れていた。
今はナイキブームではないが、根強い人気の「FOAMPOSITE」コレクターに訴求力の高い「黄色」とくれば、1ヶ月残っていると考える方がおかしい。
だが、まだ探す場所が残っている。
ナイキ原宿は、2F、3FがNIKEiD STUDIO HARAJUKU
NIKEiDを作りたい場合、電話で事前予約すると、待たずに作ることができる。
予約できる時刻は毎時0分。
納品まではおよそ2週間。
確か、バスケットや野球といったカテゴリーは2階にあったはずだ。
どうか、見つかりませんように。
靴の神様に祈りながら階段を上り、靴があるあたりにやってくる。
え゛なんで、あるの?
カテゴリーが違う靴棚の一番下に、ぽつんと黄色く光る靴。
なぜか、存在を忘れられて置き去りを食ったように1足だけそこにある。
少し冷静になろう
すぐ手にはとらず、あたりをぐるっと1周する。
確かさっき「あったら買おう」と言っていたよな。
あったけど、どうする?
そりゃもう武士に二言はない。武士じゃないけど。
よし買おうじゃないか。
元の位置に戻り、FOAMPOSITEを手に取り、長椅子に腰掛ける。
となりではアベックが靴談義中。
僕はFOAMPOSITEに語りかける。
近くで見ると、シボがあって、昔とは風合いが違うね。
アッパー素材も違うように見える。
昔のFOAMPOSITEのようなつるつるとした手触りではなく、しっとりしている。
手にした靴は大きく見えた。
もしかすると、売れ筋の「9.5」「9.0」といったサイズはなくなっていて、滅多に売れないビッグサイズしか残っていないんじゃないか。
それはそれで、仕方ないと諦めがつくな。
よし、店員を呼ぼう。
立ち上がってあたりを見回す。
すぐ目の前に男子店員がいるが、件のアベック・男が試着していて、すみませんと言っても見向いてくれない。
目の前の客に礼を尽くすのが当然であり、それは仕方がないことだ。
誰かいないかな?
と黄色い靴を胸に抱えて見渡していると、遠くから女子店員がするすると近寄ってきてくれた。
目配りの効く人だ。商売人はこうでなくちゃ^^;)
これ、サイズありますか?
「いくつですか?」
多分、9.5だと思うんですけど・・
すると彼女の表情が曇る。
「この靴は大きいサイズしか残っていなかったかと」
これはいくつなの?
目の前にある片方の見本をかざして尋ねる。
ナイキの靴は、靴の内側に「サイズ」「商品コード」「原産国」を示すタグがついている。
フォームポジットは内側が二層構造になっていて、タグがわかりづらい。
彼女は詰め物を取り出し、あちこちめくりながらタグを探す。
その間、僕はしらべるを検索して、フォームポジットのページを探す。
確か、そのページに外箱のシールを載せていたはずだ。
つづく
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