箱根駅伝で青山学院大学を快走させたアディゼロタクミ戦ブースト
「アディゼロタクミ戦ブースト」はタクミ戦に初めてブーストを搭載した靴。
「アディゼロタクミ」は三村仁司が"日本人を速くする"ために作っているアディダスのランニングシューズのブランド名称。
三村仁司は、有森裕子、高橋尚子、野口みずきが五輪マラソンでメダルを獲った時の靴を作った靴職人。
古くは、谷口浩美がバルセロナ五輪で「こけちゃいました」時の靴も作っている。
そして最近では、圧倒的な速さで箱根駅伝を制した青山学院大学チームがこの「アディゼロタクミ戦ブースト」着用だという。
アディダスのウェブサイトには"箱根駅伝本番で全員がこれを履いていた"とは書かれていないが"青山学院大学チーム着用モデル"とは書かれている。
この靴の発売イベントを伝えるウェブニュースでは"新シューズを着用し初の総合優勝を果たした青山学院大学"と表現されている。
青山学院大学の快走はこの「アディゼロタクミ戦ブースト」のお陰でもあったのか。
これを履くだけで、自分も速く走れるのではないか?
そういう期待感が漂ってくるプロモーションである。
ロードレースでは靴の仕様に制限がない。
ゴルフではアイアンの溝の幅・深さ・形状までが事細かに決められているのと較べれば、かなり道具に鷹揚な競技である。
動力を用いるといった奇天烈なことさえしなければ、素材については自由。
開発し放題だ。
長いロードレースの歴史でも、現代ほどソールの素材や形状に新機軸が打ち出される時代はなかった。
これもマラソンブームによる、市民ランナー市場の拡大。
つまり、開発費を市場からの収入で回収できる時代になった恩恵と言える。
かつて、三村仁司はアシックスの正社員として、高橋尚子、野口みずきの金メダルシューズを制作していた。
2009年にアシックスを定年退職後、岐阜に自身の工房「ミムラボ」を開いた。
翌年、アディダスと契約。
2012年1月に、アディダスからは初めての市販モデル「アディゼロ タクミ 戦」「アディゼロ タクミ 練」を発売した。
2013年からは不定期で、三村仁司直々の採寸によるオーダーメイド「三村プレミアム」を実施。
前回につづき、今回の静岡マラソンまでは、三村さんに作ってもらった靴で走る予定で準備を進めている。
「アディゼロタクミ戦」はほぼ1年に1回モデルチェンジを行っておりタクミセンブーストは「アディゼロタクミ3」にあたる。
ミッドソールの着地蹴り出し部分にブーストを初めて採用した。
「ブースト」は、アディダスが開発した高反発素材。
「BOOSTフォーム」と表記されることもある。
これをミッドソールに使用したランニングシューズは、モデル名称に「BOOST」が入る。
2013年2月27日
BOOST初代モデル「energy boost」発売。
ランニングショップ店頭には、EVAとBOOSTを並べてそれにゴルフボールを反発させるデモ・ギミックが置かれた。
EVAではゴルフボールは数センチしか反発しないが、BOOSTは弾むようにゴルフボールを跳ね返した。
同年6月には、アディダスの公式サイトで「boost athlete voice」公開。
アディダス契約アスリートが「energy boost」を履くと、驚きを通り越して笑ってしまうという映像を集めていた。
消費者としては、メーカーの宣伝ページであるから割り引いて見る必要はある。
だが、まるで、ふなっしーの跳躍力を得たかのようにはしゃぐプロ達を見ると、ただ事ではないなという興味がわいた。
その映像で効いていたのは、福士加代子のコメントだ。
「バランスパッドに乗っているみたいです。弾めない子にはいいかも知れない」
本音を赤裸々に語る印象がある福士が、ここで「すごいですねぇ!笑うしかないわ」などと弾けていたら、胡散臭さが漂うところだが、冷静なコメントには事実を読み解くヒントがあった。
どのようなヒントであったかは、この後、試用した記述の中で解くことにしよう。
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