AIR ZOOM TURF シューマッハモデルとお別れの日
シューマッハとお別れの日が来た。
まず誤解のないように断ると、ここでいうシューマッハはナイキの靴の話しである。
AIR ZOOM TURF
【 えあ ずーむ たーふ 】
F1ドライバー、ミヒャエル・シューマッハ初のシグネチャーモデルとして1996年FALLシーズンに発売された。
発売時メーカー希望小売価格15,000円。
当時はイエローグラデでお馴染みの「エアマックス95」
それをオールブラックレザーにした「TOTAL MAX SC」
野茂英雄のシグネチャー「NOMOMAX」
どれもが15,000円。
だが、それを定価で手にした人はとても幸運だった。
当時ナイキのスポーツシューズは、エアが見える「ビジブルAIR(またはairmax)」とエアがミッドソールに内包されている「ZOOM AIR」に大別された。
AIR ZOOM TURF(以下シューマッハ)は「ZOOM AIR」搭載。
「airmax」のぐんにゃりとした履き心地に馴染めない人は「ZOOM AIR」の靴を好んで履いた。
TURF という名前が示すように、人工芝の上でのトレーニング用として造られている。
ミヒャエル・シューマッハのシグネチャーは当時3種類つくられたが、初代の「シューマッハ」にはモデル名称にシューマッハ SCHU が入っていない。
マジックテープのベロにサインが入っている。
そういう点ではまさにシグネチャー(署名)モデルである。
当時、野茂英雄の「NOMOMAX」全盛を極めたマイケル・ジョーダンの「AIR JODRAN」にも署名は入っていなかった。
この「シューマッハ」の特色は、最高にかっこよくて目立つことだ。
ナイキ1990年代シューズのベストデザインと言える。
鈴鹿サーキットのF1観戦に、この靴を履いていくと、すれ違う男から
「おっシューマッハ」
という声がかかったものだ。
そして、もう一つの特徴は最高に履きにくいことだ。
サイドのカットがかなり高く、足のサイズに合わせて選ぶと、くるぶしに当たる。
その履き心地は、歩く罰ゲームと言えた。
「外国人の足に合わせて造っている」
と通を気取って解説するコレクターもいたが、どこの国にこんな特殊な足をした民族がいるものか。
試着した段階でこれは無理だと思ったが、あまりの格好良さに勝てず、2サイズあげて買った。
「AIRMAX」「NOMOMAX」では27.5のところ「シューマッハ」は28.5。
靴というのは小さいと足が痛くなるが、大きくても足が痛くなる。
屈曲する位置が自分の足と合わないため、足に負担がかかるからだ。
2サイズも上げた靴が歩きやすいわけがなく、辛さを感じないのは、静止している時だけだった。
こうなると履く靴と言うよりは、見せる靴だ。
1997年11月に出た「ZOOM SCHU」は、一転してとても履きやすかった。
ミヒャエル・シューマッハが監修して、日頃の運転用に造ったのではないかと思える出來。
アウトソールのゴムがかかとの高い位置まで切れ上がっていて、かかとが傷みやすいクルマの運転に重宝した。
定価は同じ15,000円。
ダイエーで16,000円で売っているのを見つけて即ゲットした。
その後、靴が増えすぎて置き場所に困り、友だちに廉価で売った。
数多くの靴を売ったり譲ったりしてきたが、この靴だけは売ったことを長く後悔していた。
つづく
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