AVENUEが近くにある幸福
熊本方面から福岡を目指して来たドライバーは「太宰府インター」で降りる。
「福岡インター」まで行くと行き過ぎである。
太宰府インターからAVENUEまでの道筋を、今年はプリントアウトしておいた。
春日市は直角の区画がほとんどなく、まっすぐ走っていると思っても曲がっている。
カーナビなしで目的地を目指していると、とんでもない所へ出ることになるからだ。
前もってマスターに電話を入れておいた。
年に1度会いに来るのに「臨時休業」などされては敵わないからだ。
土曜日の午後、住宅街にある喫茶店AVENUEはそこそこに賑わっている。
おぉ、おつかれさん
1年ぶりに来ても、彼の歓待はこの程度だ。
「おぉ」の冠がついているだけでも、随分と歓待されている気分になる。
お客とはつかず離れず、さわやかな距離感が彼の持ち味であり、これは30年前に藤崎でロッキングチェアを開店した頃から一貫している。
ダッチある?
あるよ
水出しの珈琲をアイスで飲む。
互いの近況を少しだけ語る。
少し話したら、彼はまた忙しく食事やデザートをこしらえる。
こちらは、くまモンスクエアで撮ってきた写真をチェックする。
今年もまた、この店がここにあり、帰って来ることができた。
幸せを感じる。
少し手が休まると、彼は大好きな甲子園に見入っている。
自分もあれからずっと、この街に住んでいたら、今頃、彼と同じ野球チームに入っていただろうか。
いや、それはないな。
1度、日曜の朝に電話がかかってきて
「8人しかおらんけん、来てくれんや」
と言われて急遽駆けつけたことがあった。
学校ではソフトボール部でウィンドミルの球を打ったことはあるが、上から投げる球は別もの。
カーブという反則球を投げる素人までいる始末。
ランナーがいる打席では、必ずバントのサインが出たが、それもバットが球に当たらない。
人並みにできたのは、ライトの守備だけだった。
かり出されたにもかかわらず、途中で部員が遅れてやってきたらさっさと変えられてしまった。
それは違うんじゃないか?
と未だに言えない。多分もう言わないけど。
マスターは、カウンターに座った常連のおばちゃんと話している。
この後、帰宅するだけならば、ここで懐かしのカレーを注文するのだが、この後に同窓会を控えていてそうもいかない。
それじゃ
いく?
この会話も30年来変わっていない。
彼がいくつになっても、ここでこうして店を続けていて欲しい。
今年はそう思うだけでなく、口にして言った。
彼の店AVENUEが近所にある春日市の皆さんが羨ましい。
AVENUEがある幸福を身近に感じていられることは、日本じゅうから個人喫茶店が消えつつある今、とてもあり難いことなのだ。
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