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2015年3月21日 (土)

中には陽の当たらないスポーツボランティアもいる

赤れんが倉庫からパシフィコに向かう道は2つに分かれていて、ランナーは右側通行。
そろそろ対岸に渡っておかないとパシフィコに入れないので、サークルウォークという名前の環状歩道橋を渡る。
階段のふもとにはボランティアが1人付き「歩道橋をお通りくださ~い」と通行人が通りかかる度に声をかけている。

 

マラソンのボランティアというと、給水やゴール会場担当などがすぐに連想される。
選手とふれ合う持ち場は、スポーツボランティアの醍醐味に溢れている。
ランナーを励ます。ねぎらう。
すると、ランナーからは「笑顔」と「ありがとう」が返ってくる。

 

ボランティアにとってのゴールは、ランナーの「ありがとう」
その言葉を聞けば、幸せな気持ちで家路につくことができる。

 

だが、そのような花形の持ち場は全体の半分程度。
走路監視員であれば、ランナーに「がんばって!」と声をかけることもできる。
だが、歩道監視員にはそれもない。
ランナーを遠目に見て、歩行者に声をかける。

 

「ごくろうさま」「ありがとう」
と声をかけてくれる人は、滅多にいないだろう。

 

たった1人、歩道橋のふもとで半日を過ごすボランティア。
1人の持ち場は寂しいですね ^^)
頑張ってくださいと声をかけて、サークルウォークに上る。
歩道橋の上は、立ち止まって応援させないよう、道路が見下ろせる手すり沿いに規制線が張られている。

 

ランナーが走るコースに沿って歩道を往く。
時々、立ち止まってランナーを観察する。
このあたりだと5時間を切るタイム。
皆、とてもよく足が動いている。

 

ゴール間近にして太陽が照りはじめ、応援の人垣が増える。
ここに来て、強い高揚感が心に迫っているのか。

マラソンランナーは、素人が見ると遅く見える。
遠目に見れば見るほど、それは歩いているようにも見える。
しかし、どれだけ遅く走っても、速く歩くより速い。

歩道の向こうからやってくる人が、風船のような包装にくるまったカップヌードルを手にしている。
そうか、この先にカップヌードル・ミュージアムがあるのだな。

カップヌードル・ミュージアム(正式名称:安藤百福発明記念館)は、作る・遊ぶ・食べるを体験する日清食品の博物館。

 

施設概要は大阪にある「インスタントラーメン発明記念館」(1999年11月開館)とほぼ同じ。
大阪に遅れること12年、2011年9月17日、この地にオープンした。
世界でひとつだけのオリジナル「カップヌードル」を作ることができる工房があり、人気を博している。
満面笑顔の子どもが持っているカップヌードルは、恐らくその自作品なのだろう。

 



2011年8月発売、開館記念パッケージ

 

埋め立て地に切られた運河にかかった橋を渡る。
橋というのは強度の保持と、その下に舟を通すため、2つの目的で中心の標高が高い。
だから、橋が大好きというランナーは居ない。
ランナーになって初めて、橋は上るものだと知る。
橋を渡りきると、そこからは心地よい下り坂。

 

「あとは下るだけだよ~」
沿道から声がかかる。
ここでも、コスプレ、かぶりものの人気は絶大。
水戸黄門、妖怪ウォッチ、くまモン、ふなっしー・・・
そこに塔のかぶりものランナーが来た。

 

「頑張れ、スカイツリー!」
おじさんが声をかける。
「マリンタワーだよ」ランナーはおじさんに言い返す。
観衆がどっとうけた。

 

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