チャーシューエッグ八千代と築地の新しい行列システム
「魚がし横丁」に着くと、そこは人だかり。
傘をさしていないだけまだまし。
もしも雨が降っていたら、泣きたくなりそうだ。
6号館の八千代(やちよ)の場所はすぐにわかった。
店の前には大村寿司のような人・人・人
なぜ大村寿司かというと、隣の店も、その隣も四角く仕切られた枠のなかに人がひしめき合い、まるで押し寿司のようなのだ。
人気なのは八千代だけではないのか・・・
両隣の店と、並んでいる人の数はぴたりと同じだ。
約束の時間までまだ20分ある。
これくらいの待ち人数ならば、皆がやってきて、少し駄弁っているうちに入れるな。
あとは、どれくらい「チャーシューエッグ」が売れているかだ
そう思っていると、前にいた女性がこちらを振り返った。
あれ、もうスズキさん来ていたのかな?
と思ったら、それは見知らぬ人。
怪訝そうにこう言った
並ぶところ、向こうですよ
あ、そうなんですか?えっとどのあたりですか?
その指さす方には無数のひとだかり。
これだけの店があるのに、いったいどの一陣が八千代待ちだと分かるのか?
あるいは八千代だけは、別格に人気が高く、彼方にいる行列はすべて八千代待ちなのか・・・
とりあえず、そちらへ行くしかない。
重く垂れ込めた雲。
カモメが水揚げした舟からのおこぼれを狙って低く飛来する。
6号館から海側に出たところに、順番を待つ人々
店の前はターレーの通路でもある。
そこに並べる人数には限りがある。
だから、こうして少し離れた場所で、店ごとに人を並ばせているのだ。
この人だかりがすべて「チャーシューエッグ」だったら、今日は無理だなと諦めかけていた心に、希望の火が灯る。
"八千代列"沿いに歩いて最後尾に来た。
前にいたのは女性1人
連れは居ない
ここ、最後尾ですか?と聞くと怪訝そうな顔でうんうんとうなずいた。
その前方を数えると22人
とりあえず列に並んで仲間の到着を待つ。
約束の時間の5分前、スズキさん到着
「いやぁ、迷いましたよ~」
築地は初めてという人にとっては、確かにわかりやすい場所ではない。
ここは、観光してもよい場所ではあるが、観光地ではないからだ。
元春仲間と会う時はいつもつけることにしている、VISITORS G-SHOCKが、待ち合わせの9時を告げる。
サトウくんはまだ来ない。
できれば早く来て欲しい。
あまりに列が伸びてしまうと、1人入れてもらうのもあくまで割り込みであり、大変気が引ける。
待つ側が冷や冷やしながら時を過ごしている頃、当のサトウ君はまだ築地駅にすら着いていなかった。
早起きしたのだが、早すぎると二度寝して、今度は寝坊したのだという。
あまり聞きたくない話しも、平然と言ってしまう彼の天然さに僕らはこれまで、どれだけ癒されてきたことか。
長いつきあい、いろいろあらぁな
長いつきあい、いろいろあらぁな
しょうがないねぇまったく
2人は心の声をぐっとのみ込んだ。
そうこうしているうちにも、人は増えてくる。
我らが八千代列にも、行列システムを初めて知った人がやってきて問い合わせる。
ここ八千代(の列)ですか?
「そう!ハッセンダイ」
ずっとスマホに目を落としていた前の女性が大きな声で応えた。
僕らは2人で顔を見あせて、うんうんと頷く。
つづく
つづく
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