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2015年5月22日 (金)

チャーシューエッグ八千代と築地の新しい行列システム

「魚がし横丁」に着くと、そこは人だかり。
傘をさしていないだけまだまし。
もしも雨が降っていたら、泣きたくなりそうだ。
6号館の八千代(やちよ)の場所はすぐにわかった。
店の前には大村寿司のような人・人・人
なぜ大村寿司かというと、隣の店も、その隣も四角く仕切られた枠のなかに人がひしめき合い、まるで押し寿司のようなのだ。

人気なのは八千代だけではないのか・・・
両隣の店と、並んでいる人の数はぴたりと同じだ。
約束の時間までまだ20分ある。

これくらいの待ち人数ならば、皆がやってきて、少し駄弁っているうちに入れるな。
あとは、どれくらい「チャーシューエッグ」が売れているかだ

そう思っていると、前にいた女性がこちらを振り返った。
あれ、もうスズキさん来ていたのかな?
と思ったら、それは見知らぬ人。
怪訝そうにこう言った

並ぶところ、向こうですよ

あ、そうなんですか?えっとどのあたりですか?
その指さす方には無数のひとだかり。
これだけの店があるのに、いったいどの一陣が八千代待ちだと分かるのか?
あるいは八千代だけは、別格に人気が高く、彼方にいる行列はすべて八千代待ちなのか・・・

とりあえず、そちらへ行くしかない。
重く垂れ込めた雲。
カモメが水揚げした舟からのおこぼれを狙って低く飛来する。
6号館から海側に出たところに、順番を待つ人々

すると規制線が張ってあり、そこに「八千代」の文字が見えた。

Photo


店の前はターレーの通路でもある。
そこに並べる人数には限りがある。
だから、こうして少し離れた場所で、店ごとに人を並ばせているのだ。
この人だかりがすべて「チャーシューエッグ」だったら、今日は無理だなと諦めかけていた心に、希望の火が灯る。
"八千代列"沿いに歩いて最後尾に来た。

前にいたのは女性1人
連れは居ない

ここ、最後尾ですか?と聞くと怪訝そうな顔でうんうんとうなずいた。
その前方を数えると22人
とりあえず列に並んで仲間の到着を待つ。

約束の時間の5分前、スズキさん到着
「いやぁ、迷いましたよ~」
築地は初めてという人にとっては、確かにわかりやすい場所ではない。
ここは、観光してもよい場所ではあるが、観光地ではないからだ。


元春仲間と会う時はいつもつけることにしている、VISITORS G-SHOCKが、待ち合わせの9時を告げる。
サトウくんはまだ来ない。
できれば早く来て欲しい。
あまりに列が伸びてしまうと、1人入れてもらうのもあくまで割り込みであり、大変気が引ける。
待つ側が冷や冷やしながら時を過ごしている頃、当のサトウ君はまだ築地駅にすら着いていなかった。

早起きしたのだが、早すぎると二度寝して、今度は寝坊したのだという。
あまり聞きたくない話しも、平然と言ってしまう彼の天然さに僕らはこれまで、どれだけ癒されてきたことか。

長いつきあい、いろいろあらぁな

しょうがないねぇまったく
2人は心の声をぐっとのみ込んだ。

そうこうしているうちにも、人は増えてくる。
我らが八千代列にも、行列システムを初めて知った人がやってきて問い合わせる。

ここ八千代(の列)ですか?

「そう!ハッセンダイ」
ずっとスマホに目を落としていた前の女性が大きな声で応えた。

僕らは2人で顔を見あせて、うんうんと頷く。

つづく

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