サザン入場 身分証を呈示してから発券まで
15:30
「そろそろ行きましょうか?」
ようやく彼からこの言葉が聞かれた時、少しほっとしたのだが、それは顔には出さなかった。
チケット引換券というシステムが実はまだよくわかっていない。
座席券はすでに彼の手の中にあるのか、それともこれからどこかで引き替えるのか。
サザンライブのベテランが目の前ででーんと構えているのだから、こちらがまだ時間大丈夫ですか?などと小心なところを見せるのは無粋だと思っていたが、やはり気が気ではなかった。
東京ドームをぐるりと回って指定のゲートへと階段を上る。
「東京ドームは人の波」
前日、友だちがSNSで言っていたが、思ったほど人はいない。
人が溢れていないのは、開場を早めて人を分散させているためのようだ。
はぐれないよう後を着いていく。
座席指定引換券は手の中にあるが、自分は同伴者。
彼が身分証名を呈示する際には、すぐ隣に居なくてはならない。
あいにく、彼は歩くのが速い。
遅れまいとするこちらの気持ちを推し量ることもなく、いつも通りスイスイと人並みをすり抜けて進む。
間に1人のおじさんが挟まり、距離が開いていく。
追い越そうかとは思ったが、その人にとってみれば「なに急いでるんだよ、流れに沿って歩けよ」となるだろう。
1人で来た人だから、同伴ありという"サザンの事情"がわからないのかな。
入場ゲートが近づくと、列は横に伸びる。
これはいつもの巨人戦と同じだ。
ようやく彼のとなりをキープできた。
列の流れは思いの外、早い
ほぼ、立ち止まることなく僕らの番がきた。
彼が財布から免許証を取り出して呈示する。
写真が付いた身分証明書の呈示が求められているのだ。
写真が付いた身分証明書の呈示が求められているのだ。
係員が座席指定引換券と免許証を照合
ほくろの数もかぞえている
というのは嘘で、氏名を照合して
というのは嘘で、氏名を照合して
「はい、いいですよ」
こちらが同伴者ですと彼が左手で示す
同伴者でーす
つい、おちゃらけてしまった自分が悲しい。
いや、初めてのサザン、ここまで来てちょっと安堵したのだ。
その先へ進むと手荷物チェックカウンター
カバンを開けてテーブルに置く
久しぶりだ。
スマホ全盛の世の中、コンサート会場での荷物チェックはもう役割を終えたと思っていた。
その先がいよいよ発券カウンター
いつもならば、ここはもぎりの兄ちゃんが立っているだけの場所だ。
座席指定引換券を手渡すと、係員がQRコードをスキャナーにかざす。
すると8×14cmの【 座席指定券 】がはき出された。
券面にはツアー名称、日時、座席、注意事項がびっしりと印字されており、はじめからこれがチケットですと渡されたとしても「はいそうですか」と納得する程度のものだ。
座席の列・番号を見ただけでは、それがどういう席なのかはわからない。
ただ、アリーナ席ではないのだろうなという察しはついた。
ドーム球場でコンサートを見るのが初めてなので、アリーナ席、スタンド席が実際にどうなのかは見当が付かない。
ただ容易に想像できるのは、最前列でもない限り、フラットなアリーナ席はかなり見づらいだろうということ。
定員1人の回転ドアを抜けたところで「おいしい葡萄の旅」デザインの手提げビニル袋に入ったフライヤーを受け取る。
通路表示を目安に、いつもならば直行する弁当売場に目もくれず、スタンドの座席へ向かう。
歩くのが速い彼は、階段も速い。
ばたばたと階段を下りていく。
これでもかというほど降りていく。
ここではもう、ついていく必要はない。
ただ歩きづらい。
1段の表面積が長すぎて、1段おりる足が片方に偏ってしまう。
だんだんと片足にだけ乳酸が溜まるような感覚で気持ち悪くなり、時折足踏みを入れて、下る足を入れ替える。
階段を下りる工夫に執心していたら、彼は目的地に到達してこちらを見ていた。
ここですかねぇ
そこはスタンドの最前列
目の前にあるのは緑の低い壁
そのすぐ下には人工芝のグラウンド
と言いたいところだが、今日はシートで覆われている。
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