1989年のロールフィックス 2015年のドットライナー
バブルが崩壊した1989年
景気の後退はそれぞれの業界によって、時間差で懐具合に影を落としていった。
景気回復基調となっているアベノミクスの恩恵が「全国津々浦々にお届けする」には時間がかかるように、景気が後退していく時も時間差があるのだ。
その日、当時人気が高かったファッション雑誌をめくっていて、1つの文具に釘付けになった。
一見文具とは思えないメカニカルなプラスチック構造
日本にはなかった色使い
幼少の頃、組み立てて遊んだ望遠鏡や顕微鏡を彷彿とさせる
その名は「ペリカンロールフィクス」
糊と修正テープの機能をもつ、カートリッジ式文具。
ドイツの文具メーカー「ペリカン」の製品を日本ペリカンが輸入販売する。
それまで糊と言えばスティック糊「ピット」を使っていた。
黄色い容器に入ったフエキの糊では、貼った後に紙がふにゃふにゃにふやけてしまうからだ。
ピットはほとんど水分を含んでおらず、貼った後もさほど紙がふやけない。
だが、塗りすぎるとやはりふやけるので、最低限の分量で必要十分な密着を得るために、神経を使う必要があった。
のり付けの度、キャップを外す。ねじって糊を少し出す。塗ったら逆にねじって糊を仕舞う。キャップを付ける。
そういったことも後で考えれば、時間のムダと言えた。
雑誌に載っている青い物体には、それらのストレスから解放される予感がある。
早速行きつけの文具店に雑誌を持参して、取り寄せてもらった。
ロールフィックスは本体とカートリッジから成る。
本体は2種類
糊は青い筐体で、修正テープは白い筐体
両者は色が違うだけで、中にどのカートリッジを入れても構わない。
「テープ糊」も初めてだが「修正テープ」もロールフィクスが初めてだった。
修正液といえば、ふたに付いている刷毛で間違えたところに塗るものしかない時代。
1989年といえば、世の中の仕事は「紙」で行われている。
文字を書き間違える度に、修正液を塗る
乾くまで待つ
乾いてから字を書こうとすると、文字の上に修正駅のダマができていて、ダマの上に立体的な字を書かなければならない。
それも、搬送しているうちにこすれて欠けてしまい、いったい何という字に書き換えたのかがわからない。
はじめにロールフィクス「青」と「白」を1つずつ買った。
本体 2,000円 交換用カートリッジ 550円
当時の文具としては破格の値段
当時の文具としては破格の値段
カートリッジは当初「糊」「修正4.8mm」の2種類だったが「はがせる糊」「修正2.4mm」が発売された。
これも便利なので、さらに本体「青」「白」を追加して、4つ態勢を敷いた。
貼った後、紙が歪まない糊
修正してすぐ、字が書ける修正液
2015年の今となっては、日本人の3割が使っていそうだが、当時それを実現しているのはロールフィクスだけだった。
ただし、使っていくうちに困った問題が起きた。
テープがたるんで、ダメになるカートリッジが多かったのだ。
1個550円もするカートリッジが3ヶ月もすると2~3個溜まった。
そこまで愛用しているユーザーがどれだけいたか不明だが、メーカーは快く無償交換してくれた。
ロールフィクス本体は1995年頃には姿を消していた。
バブル崩壊の余波が全国津々浦々に行き届く流れのもと、高額な文具は普及しなかったのである。
あれから25年
今もロールフィクスのカートリッジがweb通販で販売されている。
2011年にしらべた時は糊 (955) 8.4mm幅12m巻が10個で4,074円のまとめ売りだったが、現在は1個売り474円となっている。
現在、各社から廉価の修正テープ、糊が発売されている。
いずれも本体+(初回分)カートリッジが 500円以下で買えるものばかり。
中でも糊はコクヨが発売する "紙が歪まない"糊テープのり「ドットライナー」が良品である。
ドットライナー(標準タイプ)
■糊幅:8.4mm
■本体9.3cm
■16m巻き カートリッジ詰め替え式。カートリッジは290円。
■実勢価格:420円
ドットライナープチ
■糊幅:7mm
■本体6cm
■8.5m巻き使い切り(カートリッジ交換はできない)
■実勢価格:194円
ロールフィックスは全面糊だったが、ドットライナーはドット状に糊を配置。
紙面には糊の隙間があるが、接着力は申し分ない。

「ドットライナープチ」のパッケージに「切れがいい!」と謳っているが、これは標準タイプも変わらない。
プチは場所をとらないうえ、性能は十分なので、とても重宝する。
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