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2015年8月20日 (木)

意外に忙しい入院初日の午前

これから

夏目漱石みたいなタイトルですが
これから入院へ行ってきます。
間際になって、Mr.childrenの新作を買いました。
ゆっくり時間がありそうなので。
それでは、また
今度は病院からメールします。
猛暑につき、ご自愛下さい!


親友の中村君にメールを送る
今回の入院を知らせた唯一の知人である。
気心の知れた人というのは、世の中にそうたくさんいるわけではなく、特に自分のように白黒はっきりしたモノを言う人間にとっては、とても少ない。
恐らく、家族以外でこの僕の見舞いに来ようなどと言う奇特な人は彼くらいだ。


最寄り駅をおりて、堂下総合病院につながる一本道を進む。まだ通い慣れたとは言えないが、やはりこの病院とのつきあいは長いものになりそうだ。
最寄り駅から病院までの道のりは、とても足取りが重いものだった。
20m歩いては立ち止まり、はーっとため息をつき、また歩き出すがやはり20mと保たない。

荷物重っ!

本来1泊旅行用のバッグ「湘南」にすべての入院用品を詰めたわけだが、その重さたるや軽く10kgを超えているだろう。
測ったわけではないが、学生の頃スーパーのアルバイトで倉庫から10kgの米を運んだ時の方がまだ軽かったと思う。
これでも本は6冊に減らしてきた。
当初は10冊入れていたのだが、試しに持った時にめげて減らし、その代わりkindleで無料本を39冊買った。
手がちぎれそうであり、とても一気に20mを超えて歩けない。
ひと休みしては荷物を持つ手を替える。それを何度も繰り返すので、いつもと倍の時間がかかる。
そのお陰で、入院から2日めまでは日頃荷物を持たない左側の肩が、ひどい筋肉痛に見舞われた。


入院受付は「9時~10時の間」と幅を持って指定されている。
その間をとって9:30に到着
入院受付カウンターで保険証、入院申込書、そして限度額適用認定証を提出。
限度額適用認定証はその場でコピーをとって返却され、2度と使うことはなかった。
手続きはこれで完了。これで精算時には限度額を超える支払いが免除される。

堂下総合病院は複数の棟からなる大病院
風の日には、その間を強いビル風が吹き抜けて、道行く自転車や荷物を持った買い物帰りの老婆を苦しめているが、一旦中に入ってしまうと、ほぼ無音の空間。ただ、縦方向に高い。
エレベーターに乗って9階にあるという脳神経外科病棟へ初めて足を踏み入れる。


病棟のナースセンターで声をかけると、担当であるという平原さんがやってきた。
大きな目でしっかりこちらを捉えて話す、訪問販売のセールスをやらせても通用しそうなくらい、きびきびとしていて押し出しが強い女性だ。
この人がずっと担当してくれるのかと思って嬉しくなったが、担当は日替わりだと知ったのは翌日だった。
「まだお部屋の準備ができていないんですよ」ということで、談話室に移動して問診と初期説明。
つづいて身長、体重、採血、採尿と入院初日のお約束をこなす。
体重はこの1週間で1kg落ちていた。
手術に向けて体力をつけるために食事をしっかり摂っていたところ、その分間食が減ったためだ。

脳神経外科は常に満床状態だった。
4人部屋の相棒は、誰かが退院するとその日の午後には新しい人が来る。
僕が入るべきベッドには、この日退院する前任者がいたのである。

11:00
ベッドが空かないまま検査に呼ばれる。
入院日から手術までの2日間。ゆっくり過ごして気持ちを整えるのかと思っていたら、けっこう忙しい。
こうして検査があるとは聞いていなかったが、見知らぬスケジュールが突然入って来るのは悪くない。
この時点では、手術を受ける病人として扱われていることを楽しむ余裕があった。
荷物をおろす場所がないのでナースセンターに預かってもらい、普段着のままで検査へ赴く。
先導はヘルパーさん。
ヘルパーさんと言っても介護保険制度でやってくるあのヘルパーさんではない。
病院が採用しているヘルパーさんだ。
健康な人ならまだしも、患者が1人で病院内を歩き、お目当ての検査室を探してたどり着くのは容易ではない。
だからといって、看護師がそれにいちいち付き添っていては、本来の看護の手が薄くなる。
堂下総合病院の場合、日中は看護師1人→3人の患者。夜間は1人→10人の患者をみている。
そこで、道案内のような簡易業務を担うヘルパーさんをアサインしているのである。

これから受けるのは心電図、レントゲン、CT
「終わったら迎えに来ますよ」という申し出は断った。
来た道を帰るだけのことなので、さすがにそれで手間を取らせては悪いと思ったのだ。
だが、X線検査室は大変混んでいて、検査を終えて病棟に戻ったのは2時間後。
ナースセンターに帰りました報告をすると、件のヘルパーさんが心配そうな目をして待っていた。

「千葉さん、道に迷って病院内のどこかで迷子になっているんじゃないかって心配してたんですよ」

いやいや、徘徊老人じゃないんですから。
とは言わず、心電図はすぐ終わったんですけど、CTがすごく混んでいたんですよ。とありのままを報告した。

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