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2015年8月21日 (金)

入院初日に出た、謎のうどん

実際、心電図は0分、レントゲンは30分待ち、CTは45分待った。
痛恨の極みだったのは、レントゲンで機械に背を向けて立ってしまったことだ。
レントゲンは定期検診で受けているので、機械を抱くように立つことはよく知っていた。
「はい、そこに立って下さい」
と言われると、今日はなぜか機械に背を向けて立ってしまった。
その視線の先にいた、目を合わせてはいけない・・・と歯を食いしばる女性技師の戸惑う瞳をしっかり見てしまった。
僕は、少し緊張しているのか・・


13:10
「退院の方がまだ出ていないんですよ」
担当の平原さんが済まなそうに詫びる。
病室が混んでいるのだろう。仕方がない。
「談話室にお食事運びますから」
そう言ってお昼ご飯をもってきてくれた。
そうか、もう自分は入院患者なのだと実感したのは、お盆に乗った献立のフタをとった時だった。
13年前に入院した病院では「オムレツ」といった献立名のカードがついていたが、堂下総合病院ではそのようなものはない。
あるのは「お粥」「牛乳」といった、病状に応じた食事の種別を表すメモだけだ。


とぐろを巻き、白くて太いところを見ると、どうやらそれはうどんらしい。
とても、素麺には見えない。
でも汁が入っていない。
汁が少ない伊勢うどんですら、醤油出汁が絡んでいる。

どうすんだよ・・
と独り言を言いながら、辺りを見渡すが、テレビで国会中継を見ている入院患者に「これ、どうやって食べるんですか?」と聞くわけにもいかない。
とりあえず、そのまま食べる。
味がない。
思いなおして、どこかに出汁があるのかと探してみるが、端から端までわずか30cmのお盆に死角などあるわけがない。
検査が混んだため、食べるのがお昼から1時間遅れてしまった。
うどんが伸びないよう誰かが汁を捨てたのだろうか?

みそ汁椀を空けてみると、豚汁が入っている。
これに入れて、つけ麺にするのか?
あるいは、豚汁をうどんにかやすのか。

この入院中、このメニューはもう1度お目にかかった。
「これってどうやって食べるんですか?」などと食堂のおばちゃんに聞くようなことを、忙しそうな看護師さんに尋ねるわけにはいかず、いまだに謎のままだ。


担当看護師の平原さんがくれた脳神経外科の手術前後の説明書に目を通す。
ある一文に目が釘付けになった。
「ICUに入っている間、排泄はベッドでおこないます」
これはキツイ
大きいのを出して、それを看護師さんに片付けてもらうのか。
そこまで動けないことは、想定していなかった。

そこに、看護師の深田さんがやって来た。
癒し系のルックスと物腰
きっと、おじさんたちのファンが多いに違いない。
「お食事の希望をお聞きします」

手術翌日、翌々日の夕飯メニューが書かれていて二者択一。
翌日 アジフライ or 厚揚げ豚肉炒め
翌々日 肉詰めピーマン or 白身魚白酢餡かけ
見るものすべてが新鮮で楽しい。


14時過ぎ、ようやく病室に通された。
差額ゼロの大部屋を希望していたが、空きがないとのことで4人部屋。
だったらやめておきます
という選択肢は手術を2日後に控えた患者にはない。
このように病院側都合で、差額ベッド代が発生する場合、患者の同意が必要であると言うことは退院後に知ることになるのだが、この時、なにかに署名したという覚えはない。

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