レース中「Missing」を歌って心拍数が50下がる
30kmで折り返してからは、風が追っていて走りやすくなった。
寒さも和らいで感じる。
風船の兄さんは給水所でゆっくり休憩に入ったため置き去りにしてきた。
できれば追いついてきて、また僕を引っ張って欲しい。
今、どこだろうか。対面通行のランナーの中に見つからない。
もしかして、すぐ後ろにいるのか。
振り返りたいと言う衝動に駆られるがそれはしない。
なぜだろう。マラソンを走っている時は後ろを振り返る気になれないのだ。
身体に捻りの動作が入ることで、安定している「前進システム」に変化を及ぼすぞ!
そう考えて脳が止めるのだろうか。
31km
ちょうどこのあたりが、同日に行われた「びわこ毎日マラソン」がスタートした頃。
NHKの生中継では、大雨のなか走るランナーが映し出された。
後日、知人からは「びわこの映像をテレビで見たけど、大変だったね」とねぎらいを受けた。
夜のスポーツニュースを見ていると、あるトップ選手が「寒さで身体が動かなくなった」とコメントしていた。
プロでもそうなんだ!
とても救われた気持ちになった。
だが、走っている今、とてもいたたまれない気持ちに包まれている。
右からは先行するランナー
左からは追ってくるランナー
左右2つ流れのランナーとすれ違うマラソンは、恐らくここ静岡マラソンだけではないだろうか。
32km
32.1km第12給水 給食
ここでも大勢のランナーが立ち止まり、バットに入っている何かに手を伸ばしている。
僕はそれには目もくれず、コップだけを1つ指ではさんでかっさらい、ゴミ箱に捨てる。
しばらくいくと風船の兄さんが追い越して行った。
ということは、ペースが落ちていたと言うことだ。
背後にぴたりと着く。
すぐ着けると言うことはやはり、脚は残っているのだ。
33km
折り返しがやってきた。
これであとはゴールの方角に向かって走っていける。
ずっと後ろについてきた風船ペースメーカーに、ここで着くのをやめた。
1度は暖まったかに思われた身体。
東行きはまたも寒くなり、足に力入らなかった。
34km
雪山で遭難したら歌を歌って元気を出すというのを、昔テレビで見たことがある。
もちろんそれはエネルギーの無駄遣いであり、愚策であると後年否定されたのだが、ここで歌を歌うことにした。
それほど意識が低下していたのだ。
ちょうどウォークマンから流れていたのはELLEGARDEN「Missing」
どしゃ降り極寒の状況と対極にある熱い歌だ。
大声を出すと周りに迷惑なので、自分に聞こえるくらいの声、息も絶え絶えに歌う。
その時異変が起きた。
左腕で心拍数をモニタリングしているmiCoach SMART RUNが「80」を表示したのだ。
マラソンを走っているランナーは通常140~160の心拍数で走っている。
直前の表示は130だった。
それが一気に50下がって80。
これは、運動中の心拍数ではない。
咄嗟に命の危険を感じて、歌うのをやめた。
もしお友達にマラソンランナーが居たら、走りながら歌うのはやめた方がいいと伝えて欲しい。
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