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2015年9月20日 (日)

可憐な二十歳のインターン女子、老人に挑む

耳鼻科の帰り売店に寄る。
探しモノはT字帯、ボディソープ。
手術と術後のICU生活で必要な物。看護師から指示があった。
ボディソープは小型の容器に入った液体ソープ。最後の一個だった。
あぶない!もしこれがなかったら400円の高級固形石けんを買わなければならなかった。
事前にわかっていれば、近所の薬局で買って来たのに。
手術に向けた準備は着々と進む。


11:00
「今日はシャワーどうしますか?」
日勤担当の沢田さんが、聞きに来てくれた。
快適だな^^
こうして、きちんと聞きに来てくれるんだ。
この後も、2日に一度はシャワーの希望を聞きに来てくれた。


11:20
「お仕事はなにをされていたんですか?」
聞かれているのは僕ではなく、隣りのひょうちゃん。
カーテン越しのため、姿形は見えないが、声からして二十歳前後の可憐な少女の声が聞こえてくる。
ひょうちゃんの所にはこうして毎日、インターンが来ている。

玄関の呼び鈴のような名前だなと思っていたが、昨今は就活の事前活動としてすっかり有名になった「インターン」
仕事の実習という意味らしい。

「今もしてるんだよっ あぁ腰がいたいよ」
もう仕事をしていないと決めつけているインターンにぶつけるじいさんの愚痴にうける。

「でも、奥さんが毎日来てくれるからいいですよね」
すかさずフォロウするインターン女子。
いや、こっちはそれで困っているのだが^^;


12:05
お昼ごはんは中華丼 ごまプリン
中華丼がうす味だ。
この時はたまたまこの献立が薄味なのかと思っていたが、結局退院までずっと食事は薄味。
いや、ほとんど味がしなかった。


14:00
今日もお昼過ぎにケイちゃんがやって来て、ひょうちゃんとの爆音会話が始まっている。
そこに主治医の牧野先生がやってきた。
「騒々しい部屋ですみません」
それが、爆音夫婦のことを指しているのか、単純に相部屋のことを言っているのかは追及しなかった。
手術前日に聞くことではない。

説明用に誂えられた別室に行き、画像を見ながら手術の概要そして、細部にわたる合併症リスクの説明を受ける。
本来ならば、この席に親族が同居するべきなのだろう。
明日も立ち会うかどうかわかりませんというと、牧野医師は呆気にとられていた。
「そんなもんですかねぇ・・」


内視鏡下経鼻手術についての説明
身体抑制に関する説明
肺血栓塞栓症の予防に関する説明
中心静脈カテーテル等の挿入に関する説明
輸血および血漿分画製剤の投与に関する説明


誤って動脈を傷つけた場合
そして輸血が必要になった場合
それぞれのリスクが確率と共に語られる。
輸血の合併症では、死亡のリスクもあるという。
ここで初めて出ることば「死亡」
重く受け止めるが、今は未来を信じている。
承知しましたという意志をこめて、静かにうなずき、同意書に署名する。

「予定手術時間は3時間プラスマイナス1時間です。麻酔が効くまでに1時間。手術そのものが2から4時間。目覚めるまでに1時間。およそ6時間ですね」

30分におよぶ説明を受けたあと、せめて、手術完了時には家族の誰かが待っているよう、自宅に電話を入れる。
それは、執刀医のやりがいを考えたからだ。

ある情景が頭をよぎる。
もしも自分が執刀医だったら・・・


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