映像の中でワルツを踊る桜井和寿
この日、日産スタジアムの日没は18:07
陽が落ちる前からあたりは暗くなり、前方ステージコーナーでは、夜の帳が降りてきた。
「忘れ得ぬ人」から、前方ステージで歌うMr.children。
今回、そこにエレベーターをつける案があったらしいが実現しなかった。
そのことを桜井和寿は「もう年なので走り回れないから(花道に)エスカレーターを付けようと言ったら却下された。自分で動け!と」と違う話に脚色していた。
「焦った~、今ぱらっときた」
歌い終わった桜井和寿が言う。
どうやらアリーナには少しだけ雨が降ったらしい。
日産スタジアムはスタンド部分には屋根がついており、1階後方と2階席は雨が降っても濡れはしない。
この日、持ってきたウィンドブレーカーは無用の長物だった。
11.and I love you(I LOVE U)
桜井和寿の伸びる声は、低いオクターブで色香を増している。
余裕をもって出る声だからこそ、感情表現をふんだんに盛り込んで歌い上げる。
高い声が出る人にとって、こういう歌は歌っていてたまらないはずだ。
12.タガタメ(シフクノオト)
桜井和寿がギターを弾くシンプルなバージョン。
♪この星を見てるのは
ここで歌うのをやめる
星は曇り空にはなく、ステージ後方のスクリーンに投影されていた。
「キレイ」
近隣の若い女性が声を挙げる。
♪右の人、左のひと
左のモニター、右のモニターの人が向き合っている。
左、中央、右3つのモニターがある時は同じ映像、そしてある時はすべて違う映像と、目まぐるしい作りで楽しめる。
サザン「おいしい葡萄の旅」もそうだったが、制作費が大きいバンドの大会場巡回ツアーは、こういう傾向にあるのだろう。
♪明日もし晴れたら広い公園に行こう
ミスチルのデビュー当時から聴いてきた人々、既に子育てを終えた人達には、子供たちと過ごした幸せな日々を思い起こす人が多いだろう。
静かに歌い上げる桜井和寿
スタンドは着席して聞き入っている。
「歌う時は周りの顔色を見てね。今日は桜井和寿、本物の歌を聴きに来たのに(となりの人の歌に)お前の歌を聴きに来たんじゃないって思われますから」
と先にMCしていたので、周囲に怒られないよう口ぱくしていたが、ここだけは皆も歌っているので遠慮は要らない。
13.蜘蛛の糸(REFLECTION)
ここから、REFLECTIONより続けて3曲。
Mr.childrenは元のステージに戻ったが、引きつづき穏やかな選曲。
夜の静寂に新しいスローバラードが映える。
オールドシネマを彷彿とさせる間奏のピアノが素敵だ。
14.REM(REFLECTION)
スローなイントロからハードなギターが入る。
「あぁあ、立たなきゃ」
いつもなら、少しうんざりする"バラード明け"なのだが、今日はそれほどでもない。
どれだけでも立ちますよ!てなもんだ。
15.WALTZ(REFLECTION)
無表情な無数の人が行軍する映像
一瞬だが、空爆に向かう戦闘機と思われる映像も挿入されていた。
できれば政治的なメッセージはこれくらいにして欲しい。
♪もしかしたらここの列のほうが選ばれし人の流れか
ブランドの大学に行って何かを学ぶか
学びたいことがある大学へ行くか
この列が短いと思って並んだレジの列
でも隣の列が思いの外早く進んでいく
人生には隣の列と見比べて逡巡する場面が幾度もある。
人生には、知らなくていいことが、あふれている。
知らなければ心は平穏だが、現代社会では情報はたやすく手に入り、否応なく攻撃してくる。
でもその情報を遮断するという選択肢は自身にある。
スクリーンではバーチャルな女性とワルツを踊る桜井和寿。
映像の中にリアルな人の映像を映しこんで絡ませるのは新しい趣向だ。
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