じぃじ、ばぁば族と伝統的な家族の呼称
その日、僕は生まれて初めてグランクラスに乗っていた。
東北新幹線のほうではなく、長野新幹線のほうだ。
なぜ、北陸新幹線と言わないかというと、まだその頃、新幹線は長野止まりだったからだ。
北陸新幹線改行に先行して、1年前から走り始めたE7系。
その12号車(金沢寄り先頭車両)にはグランクラス車両が連結されている。
撮影目的で12号車に立ち入ってはいけないと、JR東日本は注意喚起の車内放送をしているので、この写真を撮っていると言うことは、グランクラス乗車の証である。
もしも、乗車していないのに写真を載せている人がいたら、それはマナー違反いや、JR東日本が施行するローカルルール違反と言うことになる。
通常車両は5列
グリーン車は4列
そして、グランクラスは3列
東京から金沢方面へ向かって左から
[C][B]廊下[A]
という並び順になっている。
(上の写真は東京行きを撮影)
(上の写真は東京行きを撮影)
JR乗車券発売は乗車日の一か月前同日より。
さらに、その1週間前(同じ曜日)午前5:30からえきねっとの事前申込みが始まる。
早起きしてネットに向かい申し込んだお陰で、難なく1人掛け[A]席をゲットできた。
E7系はアクティブサスペンション装備車だが、12号車だけはフルアクティブサスペンションが使われている。
それは、電車とは言えない静寂である。
知人のレクサスに乗せてもらった人から「静かすぎる」という感想を聞いたことがあるが、きっと同じような感覚だろう。
機械が動力で地面との摩擦を起こしながら前進していく。
それは本来、揺れてうるさいものと相場は決まっている。
機械が動力で地面との摩擦を起こしながら前進していく。
それは本来、揺れてうるさいものと相場は決まっている。
そのはずなのに、ここには揺れや騒音がない。
「あれ、そういえばさっきから静かだな」
そう改めて、今いる場所を確認しなければ、その異常に気づかない。
「あれ、そういえばさっきから静かだな」
そう改めて、今いる場所を確認しなければ、その異常に気づかない。
ただでさえ快適な台車だというのに、さらにそこに設えられている川崎重工、トヨタ紡織の手による椅子は快適。
まるでマッサージチェアを思わせる。
同時期、トクだ値30(30%オフ)の場合は普通指定で5,570円(長野-東京)
それに7,590円を上積みして乗ったグランクラス。
寝てしまいそうだったが、寝るには惜しく、コーヒーで覚醒しながら僥倖に酔っていたその時だ。
びえ゛~
グランクラスいっぱいに響きわたる子供の泣き声
だが、それは仕方がないことだ。
物心ついている子供ならば、親のしつけがなってない!
と愚痴の一つも出るところだが、相手はまだ幼児。
泣くのが仕事だ。
しかし、その泣き声はすぐにやんだ。
だが、それからが長かった。
どうした、まんま?
ほれジューチュ(ジュース)
そう、美味しいね?
ほれジューチュ(ジュース)
そう、美味しいね?
ほら、ばぁばの顔みて
ばー
あぁ笑った
そうね
面白いね
ばー
ほれジューチュ(ジュース)
ほれジューチュ(ジュース)
<以下繰り返し>
それを言うなら、ババァだろう
声にしてつっこんだが、もちろんばぁばには届かない。
祖母は自らをばぁばと名乗り
母はその母を指して、ばぁばと呼称する
孫も調子に乗って(ではなくて)真似てばぁば!
いつから、じぃじとかばぁばとか虫ずの走る言い方が定着したのだろう。
欧米ではグランドマザーを略してグランマと言うようだが、それを真似たつもりか。
いや、略したならば、ばぁちゃん→ばちである。
ある日どこかの誰かが文字を並べ替えたら、語感が可愛らしくなったので使い始め、それがメディア、SNS、ファミレス^^;)などで広まったのか。
それとも「百匹目の猿現象」* のように同時発生したのか。
言っている本人たちは、悦に入っているが、聞いている方はむずがゆい。
(え゛むずがゆくない?)
むずがゆくない人達は、恐らくお父さんを「パパ」お母さんを「ママ」と呼んできた人達だろう。
つまり、日本古来からの伝統的な呼び方にこだわらず、新しい価値を取り入れることに逡巡がない人達という意味でだ。
きっと「ビッグダディ」が登場するようなバラエティ番組を喜んで見ている人達だ。
お父さんが堅苦しいなら「父ちゃん」
お婆ちゃんだと親近感に乏しいなら「ばあちゃん」でいいではないか。
それでも「ばぁば」は続いて行くだろう。
それを絶対に使わない人も減らないだろう。
いずれ日本は伝統的な家族にこだわる人たちと「ばぁば」族に分かれていく。
*ある範囲の中で、ある行動をする者の数が一定の量になると、その行動が距離や空間をこえて広がっていくとする仮説
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